2025年12月7日(日)

Wedge REPORT

2025年10月31日

 EVという新たな動力手法による変化は周辺機器にも起きている。日本精工(東京都品川区)は、EV向けの小型軽量化したベリングを展示している。

 なぜ、EVで摩擦抵抗を減らし動作をスムーズにするベアリングの小型化が必要なのか――。 EVのモーターは高速回転することから、その遠心力でベアリングが変形・破損しやすくなる。力に耐えるには厚みが必要となるのだが、それでは重くなってしまう。高速回転に耐えながら、重さを軽減しなければならない。

 同社は機器2つを組み合わせられる樹脂保持器を新たに開発。薄型のものを組み合わせることによって強度と軽さの両立を果たした。

小型化および電気への対策が講じられたベアリング

 また、動力源となる電気が流れると、スパークが発生し電食損傷が起こる。これが起こらないように、セラミックや樹脂といった絶縁素材を使うことや、別の電気の流れを作る導電体を作るといった対応も施している。

 「EVはエンジン音がない分、静かに走る車とされているため、ノイズを減らす効果もある」と担当者は話す。中国などでは、製品検査の際にノイズが項目に含まれてもいるという。

暑さと寒さのコントロール

 EVとガソリン車で「熱の管理」も大きく異なる。「ガソリン車はエンジンの回転を利用してコンプレッサーが動くが、EVは電動のコンプレッサーを内蔵する必要がある」。自動車システムサプライヤーのハイリマレリジャパン(東京都新宿区)の担当者は解説する。

 熱のマネジメントは、EVにおいて重要な項目となっている。同社はヒートポンプや高電圧ウォーターヒーターといった様々な装置を展示する。

 対応すべきは「熱さ」だけではない。「氷点下など気温が極端に低い場所だと、走行スピードが落ちたり、走行距離が短くなったりする」。熱制御技術を展示するミクニ(東京都千代田区)の担当者は話す。

 バッテリーの機能を高めるためには、一定の温度まで温める必要があるのだが、エンジン車のように燃料を燃やした際の熱を使うことができない。電力を消費してヒーターで温める必要がある。

ミクニの熱制御技術は温度を感知して適温を提供する

 同社の熱制御技術はバッテリーやモーターに水を流すことで温度をコントロールする。通常、熱せられた時に冷却水、冷たい時に加熱水を流すのだが、独自技術としてバッテリーやモーターの温度を感知して「冷」と「熱」を混ぜた最適温度を供給する。温度の変化による劣化を防ぐ狙いだ。


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