昨年世界の電気自動車(EV)の販売は中国市場を中心に順調に成長した。国際エネルギー機関によると、昨年の世界のEV乗用車(バッテリー稼働車-BEVとプラグインハイブリッド車-PHEVを合わせたもの)の販売台数は2023年比約26%増え、1700万台を超えた。乗用車販売に占めるEVの比率は約22%になった。
世界のEVの24年末の累積台数は5800万台、世界の自動車台数の4%に達した。中でも、中国は世界の新車EV販売台数の6割以上を占める大EV市場になった(図-1)。
欧州市場では23年末に補助制度が突然打ち切りになったドイツ、補助金が縮小したフランスなどの販売減があり、24年の販売台数は横ばいになった。
米国市場では成長のスピードは落ちたものの、24年も成長は続き23年比約9%販売台数が伸びた。EV製造各社も販売を伸ばしたが、そんな中で一人負け状態になったのはテスラだ。
米国市場では、他社の台頭もあり、23年春ごろをピークにテスラは販売台数を落としていたが、テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクが米大統領選挙時にトランプ大統領を支援したことが反発を呼び、24年後半から販売の落ち込みが続いている。
欧州でも、2月のドイツの総選挙時にマスクが極右と呼ばれることもあるドイツのための選択肢(AfD)の支持に回り、やはり反発を招いた。新型車の投入がないこともあり、テスラの販売は低迷している。
そんな中で、トランプ大統領の1期目の17年に続き、またトランプと仲たがいしたマスクが率いるテスラへのトランプ政権の風当たりは強くなる一方だ。