2025年12月14日(日)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年11月28日

 韓国は1960年代の朴正煕政権から、核兵器を保有する「自主国防」が悲願だ。現在では政府系シンクタンクが核武装論を牽引している。

 このような情勢を受けて、日本の世論が米韓の連携強化に敏感に反応する時代が訪れることは確実だろう。米韓海軍の日本海での共同訓練は長い歴史を有し、近年は米空母も参加する高度な訓練が繰り広げられている。日本海での韓国海軍のプレゼンスの高まりは、竹島や日本海の名称問題を抱える日本にとって、必ずしも好ましい側面ばかりではない。

南北で競い合う偵察衛星打ち上げ

 ヘッドラインではないが、20日に「軍、偵察衛星の425事業成功…自主国防の一軸が完成」という記事が掲載された。偵察衛星2・3号機が相次いで「戦闘用適合」判定を受けたことを伝えたもの。これによって、23年1月打ち上げの初号機(電子光学/赤外線(EO/IR)衛星)に続いて、24年4月と12月打ち上げの2・3号機(合成開口レーダー(SAR)衛星)が実戦投入された。

 韓国にはこのほか25年4月に打ち上げられた運用試験評価中の4号機(SAR衛星)があり、年内に最後の5機目(SAR衛星)を打ち上げる計画だという。

24年4月に打ち上げられた2号機(韓国国防部ホームページより)

 韓国軍はこれら偵察衛星を、北朝鮮の核・ミサイル攻撃に対応する韓国型3軸体系の中枢に位置付けており、「24時間全天候で朝鮮半島全域を独自監視できる能力」を獲得できると主張する。

 このような韓国軍の偵察衛星事業は、4機のSAR衛星を25年までに整備することから425事業と呼ばれる。1兆3000億ウォン(約1400億円)を投じて計5機の偵察衛星を運用する事業で強調するのは「情報主権」の獲得だ。これまで米軍の偵察衛星に依存してきた韓国が独自の情報収集能力を持つことは、政府が進める戦時作戦統制権返還に向けた条件の一つ「監視・偵察体制の強化」に該当する。

 日本の内閣衛星情報センターは03年の初号機から計19機の「情報収集衛星」を打ち上げ、現在8機(EO/IR衛星4機、SAR衛星8機)を運用している。韓国の初号機打ち上げは日本に遅れること20年だが、わずか3年で5機を打ち上げる。23年5月に衛星打ち上げロケット「ヌリ号(KSLV-11)」の発射が成功したことから、韓国は自国を米国・フランス・日本・ロシア・中国・インドに続く「宇宙G7」(自国で製造した衛星を自国で製造したロケットで軌道に載せた国)と評している。


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