「添加物を使っていないことと、真空パック詰めをしていないので日持ちが短いのです。一般的には真空パックされていることが多いのですが、そうすると味が変わってしまいます。ですから、冷蔵庫に保管した状態で消費期限は5日です。また、作り置きもしていません。曜日、天候、季節でつくる量を判断しています。その日につくった数だけ売り切るという形です。私が若い頃には、ほとんどが地元のお客さんでしたが、今では観光客と半々くらいにまでなっています」
「プレーン」のみで勝負
それだけではありません。カットした状態では販売していないのです。
「いわゆるホールの形で販売しています。カットすると、そこから乾燥が始まってしまい風味や、やわらかでふんわりとした食感が失われてしまいます。自宅でカットされる際には、1回1回、濡れた布巾で包丁をふくことをお勧めしています」
京都といえば抹茶。抹茶ブレンドのカステイラもありますが、越後家多齢堂ではどうなのでしょうか。
「そうした要望はたくさんあります。先々代の私の祖父は、いろいろやってもいいのでとは言っていました。でも、私は、プレーン一本にこだわっています。私の性格的にも一つのことを極めていくことが好きだからです」
まさにこだわりのカステイラなのです。大量生産をしていないので、駅などのおみやげ物コーナーで購入することもできません。でも、店舗を訪れると良いことがあります。数量限定ですが、2100円以上購入すると、カステイラの端をもらうことができます。
「カステイラの端は、風味が凝縮され、最も味の濃い部分です。だから一番美味しい部分なのです。販売してほしいという声もありますが、あくまでサービスなのでそれはしません」
しかも、日持ちは1日です。ぜひ、お店に訪問してみてください。
