2026年1月1日(木)

勝負の分かれ目

2026年1月1日

「表現することが恥ずかしい」照れ屋な一面

 8年前の全日本で初の五輪切符を射止めた17歳のころから、明るく天真爛漫な性格は変わらない。本音を隠さず、等身大の姿を報道陣にもさらけ出し、親しみのある関西弁で、顔見知りの記者とは冗談も言い合う。

 「何をやっても三日坊主」。自らの性格を自虐的にこう言って笑った。実際、スケートノートを綴っても1週間と続かず、柔軟性を高めようと思い立っても途中で投げ出してしまったという。

全日本選手権で、応援用のバナータオルは完売した(筆者撮影)

 「基本、自分に甘いんです」

 それでも、スケートだけはやめなかった。中野コーチのときに厳しい指導に食らいつき、ロシア勢不在の状況下とはいえ、世界のトップへと上り詰めた。

 大好きなスケートと向き合い、この年齢まで磨き上げた表現力は、いつしか坂本選手の「代名詞」となった。三日坊主が心折れることなく、継続して取り組んだ軌跡――。これこそが、長くトップに君臨できた要因だろう。

 その立ち姿勢は美しく、氷上では、華やかな衣装を身にまとって大人の女性を演じる。 しかし、そこにいるのは「別人」の坂本花織だという。

 「表現することが恥ずかしかった」という照れ屋な一面は、フィギュアスケーターとしては致命的な弱点になりかねない。多くのスケーターが嬉々としてプログラムの主人公を情感たっぷりに演じる中で、坂本選手らしい悩みでもあった。演技にメリハリを出すためには殻を破るしかない。

 「思い切って振り切って、滑ってみたときに動画を見返したら、『むっちゃ(とても)いいやん!』って」

 氷上にもう一人の「坂本花織」を生み出すことができた瞬間だった。


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