2026年1月1日(木)

勝負の分かれ目

2026年1月1日

まだに手にしていない金メダル

 心のどこかで、大技へのあこがれも捨てきれなかった。大技を跳ばないことに批判的な声があることも知っている。最後の五輪シーズンを前にして、ひそかにトリプルアクセルを練習した。回転不足で何とか立てるところまではできた。でも、シーズンには間に合わない。最後は腹をくくるしかなかった。

 「前は大技がないから、自分には勝ち目がないと思ったけど、跳べないなら跳べないなりのやり方があると思うことができるようになった。自分には、できるものしか入っていないからクオリティーを上げようと。これが自分のやり方だから」

 3大会連続となる五輪では、まだ手にしていない金メダルをかけた挑戦となる。

 北京五輪で手にした2つのメダルは、お気に入りのものを飾る部屋の棚に置いてある。「正座して眺めていると、当時の状況が呼び起こされる」と、ことあるごとに自らを奮い立たせてきた。3歳でスケートを始めた時は、これだけの苦楽を経験し、たくさんの人に支えられ、同時に多くの人に感動を届けた“虹色の長旅”になるとは想像もしていなかった。

 プログラムに3回転半はない、4回転も跳べない……。それでも、坂本選手は強い。背伸びすることなく、自らが組み込んだエレメンツのクオリティーを高め、表現の奥行きを広げた“宝石”のような演技を携え、ミラノの舞台に立つ。

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