2026年1月23日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月23日

EUの拡大策へも変化

 上記の記事は、次のような変化の過程で、将来的には、EUとの関係を律する非常に異なる形態(EUの完全なメンバーシップに至らない形態)が浮上する可能性があるとの観察を書いている。EUは西バルカン諸国への拡大を目指しているが、これら諸国が加盟基準を充たすことは容易ではない。

 ウクライナ和平との関連でウクライナを緊急にEUに吸収する必要に迫られることがあるかも知れない。ノルウェーとアイスランドは、欧州経済領域(EEA)を通じてEUの単一市場のルールを受け入れ単一市場に参加している一方、EUの政策決定には何ら関与出来ないという中途半端な立場にあるが、これに変化が生ずる可能性がある。

 EU加盟に関するノルウェーの世論は反対:48%程度、賛成:35%程度で今なお反対が多いが、地政学的な変化に対応するため、北大西洋条約機構(NATO)だけでなくEUにも加盟すべきだとの意見が強まっている様子で、その差は縮まる傾向にある。国内の議論が今後発展する兆候はある。アイスランドでは遅くとも27年中にEU加盟交渉を行うことにつき国民投票が予定されている。

 いずれ英国にとって都合の良いEUとの関係を律する新たな形態が出て来る可能性もあろう。しかし、例えば西バルカン諸国に適用可能な形態であっても、それを英国のような主要国に適用することをEUが肯んじるとは思われない。

 EU外縁の諸国との異なる形態の関係は、多少なりともこれら諸国の「つまみ食い」を許容するものとなろうが、英国のような非加盟の主要国の「つまみ食い」にEUが過敏に反応することは、上述のSAFEのケースにも明らかである。

 26年は英国とEUとの貿易・協力協定の5年毎のレヴューの時であるが、英国とEUの関係をレヴューするといった大袈裟な機会を提供するものではない。16年の国民投票は、欧州プロジェクトにおける英国の位置を恒久的に決着させた訳ではないのかも知れない。英国とEUの関係の落ち着きどころを探る作業はこの先長く続かざるを得ないように思われる。

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