2026年1月22日(木)

Wedge REPORT

2026年1月22日

 逆に人工林施業は、天然更新との闘いである。植栽しても下刈・除伐をして天然更新を抑制しないと植栽木は育たない。炎天下の下刈で苦労した経験があれば、自然の活力が並大抵でないことは、誰にでもわかることである。

 仕立てられた天然林は、初期段階ではアカメガシワ、ヌルデ、イヌザンショウなどのパイオニア種が優先するが、やがてはコナラやクヌギ、ヤマザクラ、ケヤキなどの落葉広葉樹、さらに常緑広葉樹へと遷移が進む(暖地の場合)。伐採後当年から更新が進んで地表が植生で覆われて、萌芽株もあるから、林地の流亡は起きにくく、土壌構造も保たれる。保安林の目的に願ったり、かなったりである。もちろんスギやヒノキなどの針葉樹も多くの広葉樹に混じって更新する。

写真 5 成長途上の皆伐跡天然更新地

 多様性のある森林は、病害虫にも強く、スギの数が減るので花粉症対策としても有力である。将来の材質が保証されていない無花粉スギを植えるよりも良いではないか。

 保安林制度で植栽義務は必要ない。今すぐ廃止して、天然更新優先に改正すべきである。もちろん森林所有者が植えたいならば植えてよい。森林経営の自由を阻害するものではないのだ。

 レアケースとして天然更新しにくい箇所があれば、こういうところには土留めなどの施設をつくって、客土や土壌改良を行うのだろう。もっともこのような箇所での伐採は見合わせるべきである。

木材生産にも寄与

 天然更新の効用は、木材生産にも及ぶ。スギ、ヒノキだけが木材生産ではない。これは林業の本質論にも及ぶわけだが、多様な樹種が含まれる天然林は宝の山である。決して木材生産を諦めたわけではなく、多様な樹種の中に高価値となるものが現れる可能性を見ているのだ。

 むしろスギ、ヒノキの価格の安い時代に、政策的に再造林をしようとする意味が分からない。将来、またスギ、ヒノキが復活する可能性があることは否定しない。しかし、そのような賭けを行政がする必要があるのだろうか。そうであるなら、せっかく成熟しながらも安価に苦しむスギ、ヒノキを伐採せず温存すべきであろう。

 伐採を延期する必要があれば、森林所有者に補償金を補助すればよい。その方が国土保全の目的にかなってもいるのだ。

 林野庁の大英断を期待したい。

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