なぜ「恐れる」のか?
Z世代が背負ったもの
後日、佐藤さんの気持ちを掘り下げたくて、関鉄工所を再訪した。
どうやら品物の固定に時間がかかるようだが、何がネックなのか。
「加工材料はお客様のものだから失敗すれば弁償になって大赤字だし、固定の仕方が甘いと、刃物を当てた瞬間に品物が飛んで機械を壊してしまうかもしれません。だから、どうしても慎重になってしまうんです」
刃物の送り(品物に当てる速度)も遅いと、浜崎さんは言っていた。
「送り速度は、基本的には機械に入力して設定しますが、入力した速度の0~200%の範囲で細かく調整できます。以前、負荷の量に対して送りを速くし過ぎて刃物を折ってしまったことがあるので、送りが速いと怖いんです。僕の場合30%くらいから徐々に上げていくので、どうしても遅くなってしまいます」
浜崎さん「やっちまったもんは仕方ねぇ」と失敗には寛大だったが。
「まだ、全部任せてもらえるケースが少ないので、どうしても失敗が目立ってしまう。失敗するとまたダメだったという思いが強く出てきて、気持ちがオチてしまうんです。いまだに失敗するのは恐いです」
おそらく佐藤さんに、トライ&エラーでいいんだなどと檄を飛ばしてみても、響かないのだろう。
佐藤さんの属するZ世代は、過度に失敗を恐れると言われる。容易に最適解が手に入る時代に、自分だけ選択を間違えるのは耐えられないからだと解説されている。しかし、佐藤さんが失敗を恐れる理由は、別にある気がした。
彼らは「自己責任」という言葉を、幼い頃から刷り込まれてきたのではないだろうか。何をやるのも自由だけれど、結果を引き受けるのはあなた自身ですよと。
それが当然だと言われそうだが、かのリンドバーグは根室到着前、天候不良やエンジンの不調で何度も不時着をしては、救援を受けている。冒険にも、ものづくりにも失敗はつきものなのだ。
機体修理に駆けつけた松三郎さんは、きっと自己責任なんてケチなことは言わずに、浜崎さんと同じセリフを叫んだことだろう。
やっちまったもんは仕方ねぇ!
