2026年3月13日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年3月13日

 関税を全面的に再構築するには、トランプは別の方法を検討する必要がある。おそらく、議会を経由しない特定分野および国別の関税に主に頼ることになるだろう。

 具体的には第232条と第301条であり、既に運用されており、より確固とした法的根拠を持っている。彼の目標である半世紀以上ぶりの高関税率は、依然として達成可能である。

 当面の経済的影響としては、不確実性がさらに高まることになる。企業はこの1年、米国の絶え間ない貿易政策の変動により、雇用や投資の判断は悪夢のように難しいと不満を漏らしてきた。今年は落ち着くかもしれないという期待は、今回の決定で完全に打ち砕かれた。

 最高裁は、判決の経済的影響を左右するもう一つの問題、すなわち関税還付についてほぼ沈黙を守っている。輸入業者はすでに1000億ドル(国内総生産〈GDP〉の0.3%)をはるかに超える関税を支払っており、これらの関税はおそらく還付される必要があるが、具体的な手続きや提出すべき書類については不明である。還付金が迅速に支払われれば、中間選挙を前に景気刺激につながり、逆説的にトランプに有利に働く可能性がある。

 この判決はまた、最高裁判所のより広範な方向性についても教訓を与えるものだ。トランプ復帰後、最高裁は大統領との直接対決を避け、大統領による採用や解雇の問題からトランスジェンダー兵士の禁止や移民問題に至るまで、緊急対応事案として次々とトランプの勝利を認めてきた。しかし今、最高裁は政権の政策に関わる訴訟を通常の訴訟案件として審理し始めており、十分な書面準備と口頭弁論を行うことから、トランプにとり勝算は必ずしも明るくない。

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経済的な影響は

 ついに最高裁がトランプ関税について違憲との判決を下した。この決定が及ぼす内外の影響は多岐に及び、今後さらに分析が進みそれぞれの方向性が明確になって行くものもあろうが、このEconomistの解説記事は、米国内における当面の影響について概ねカバーしており、とりあえずの留意すべき点を論じてみたい。

 まず判決は、単にトランプにとって大きな打撃であるだけでなく、関税を課税と認め、「代表無ければ課税なし」の原則に基づき、IEEPA法は大統領に議会の権限である関税賦課権を委譲しておらず、同法に基づく関税賦課は全て違法としたことは歴史的意義があり、高く評価すべきであろう。まだ米国の民主主義には脈があることを感じさせ、この記事が示唆するように今後も最高裁がトランプの法令を逸脱する行為についての歯止め役となることが期待される。


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