2026年4月15日(水)

日本の縮充化

2026年4月15日

地域経済の活性化に
努めても……

 また、地域経済の活性化に努めた自治体にとっても、差額で配る仕組みでは、その努力が報われないことにもなる。

 例えば、経済活性化に成功して、増税をせずに税収が増えたとする。すると、税収が増えた分、基準財政収入額が増えて、基準財政需要額との差額が縮まるため、結果的に交付税の分配額が目減りしてしまうからだ。厳密にいうと、税収の増加分の75%が基準財政収入額にカウントされることになっている。

 そのため、地方税収が「100」増えても、基準財政収入額が「75」増えてその分だけ交付税の分配額が減るから、その自治体の収入(地方税と交付税の合計)は「25」しか増えないことになる。これでは、地方自治体の自律的な努力が、財政状況の改善という成果につながらない。

 地方交付税は、差額で分配することにより、自治体ごとの税収格差是正と財源保障の両立を図る「一石二鳥」の仕組みに見える。しかし実際には「二兎を追う者一兎をも得ず」になりがちで、行財政改革を行ったり、地元経済の活性化で税収が増えたとしても、結果的に財政状況は改善しない。繰り返しになるが、これでは、行財政改革や経済活性化を行うインセンティブが損なわれかねない。財政状況が厳しい自治体も、結局は国からの交付税に依存する構造から、一向に脱却できない。

 全地方自治体のうち、交付税が分配される「交付団体」は95%である。こうしたモラルハザード的な状況を国の制度自体が作り出してしまっている面は否定できないのだ。

地方交付税、国庫支出金
見直すべき制度設計

 この状況を改善させるためには、地方交付税の制度設計自体を改めなければならない。そもそも、税収格差是正と財源保障という2つの役割を1つの制度で実現しようとするところに無理がある。

 2つの変数xとyがあって、その唯一の解を求めたいとき、方程式が1つしかなければ、その解は1つに定まらない。例えば「x+y=3」という1つの方程式だと、x=0,y=3も、x=3,y=0も解となる。2つの変数があるときには2つの方程式がなければその解は1つに定まらない。

 このことと同じ論理で考えれば、2つの政策目的がありながら1つの制度しかなければ、その2つの目的は真っ当に達成できない。制度は2つなければならない。

 幸いにも、前述のとおり、国から地方自治体に分配される補助金制度は、地方交付税だけでなく、国庫支出金もある。この2つの制度をうまく活用し、いい意味で〝換骨奪胎〟して、国が関与している部分について幅広く「選択と集中」をするのだ。

 まず、財源保障について焦点を当てよう。確かに、全国どこに住んでいても一定水準の行政サービスが受けられるよう、国が関与すべき行政サービスがある。ただし、国が直轄で行政サービスを提供するよりも、住民にとって身近な存在である地方自治体が提供する方が、ニーズを的確に汲み取り、きめ細やかな対応が可能になるというケースも少なくない。そのため、国は「お金も出し、口も出して、地方自治体が必ずその行政サービスを提供する」という仕組みが必要となる。

 とはいえ、同じ行政サービスであっても、地域によって必要とされるサービスの内容や規模は異なる。ある地域では教育サービスが、またある地域では介護サービスが強く求められる一方で、別の地域では最低限で良いというケースもあろう。


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