2026年4月15日(水)

日本の縮充化

2026年4月15日

 現行制度では、国が関与すべき行政分野でも、5割あるいは国が全額出していない行政分野がある。一方で、自治体が自主的に判断して実施すべき行政分野には国の補助率を下げていくべきところ、妙に国の補助率が高い行政分野があったりする。地方交付税による財源保障があるとはいえ、地方が裁量を働かせるべきところに国が補助を出して、中途半端に国が関与していたりする。

 これを、前述の趣旨に沿って、図②のように変えてゆくことが必要だ。つまり、国が関与すべき行政分野はできるだけ全額(グレーゾーンは半額)の財源を国が捻出すべきである。自治体が自主的に判断して実施すべき行政分野は、財源でも国が関与せず、地方の裁量に委ねるという姿である。

 もう一つの目的である税収格差是正については、地方交付税の仕組みを組み替えて実施すればよい。税収格差は、徹底的に均せばよいというものではない。地域経済を活性化して税収が増えた地域には、その増えた税収が手元に残る仕組みが必要である。その意味で、税収格差は適度に是正すればよい。

 こうした設計思想に基づき、国と地方の役割分担について深く議論し、制度として確立していく必要がある。「ナショナル・ミニマム」以上の行政水準は、どの行政サービスをどれだけ提供するかを、地域の実情に応じて各自治体が主体性に判断し、考えるよう促していく。これには、行政や地方議会に加えて、住民が行政のあり方を自分事化することや、当事者意識の醸成が欠かせない。

自由度を高めて
自治体間で良質な競争を

 この仕組みの目的は、自治体の自由度を向上させることであり、地方交付税が減らされるという単純な指摘にはあたらない。地方自治体の自由度を高めることで、自治体間で行政サービスの質を切磋琢磨して良い意味で競争させることも必要だ。

 また、現状の国・県・市町村の3層構造も将来的には限界を迎える可能性も大きい。

 一足飛びに道州制にするということではなく、必要な行政サービスを維持していくために、県をまたいだ広域連携に踏み切ることも一案だろう。例えば、医療分野では、県を越えて2次医療圏などを設けて住民に必要な医療を提供できるよう検討しようとしている。

 平成の大合併では、一部の地域で無理やり合併させられたという感情的な「しこり」が残った。セカンドベストとしての〝令和版大合併〟では、自治体が様々な分野で自主的に考え、近隣自治体と協力して広域連携を図るべきではないか。それこそが、人口減少社会において、地方自治体が持続的に存続していくための制度的基盤であると考えている。

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Wedge 2026年4月号より
縮む地方 膨らむ東京 日本の縮充化こうすれば実現できる
縮む地方 膨らむ東京 日本の縮充化こうすれば実現できる

「日本列島を、強く豊かに。」を掲げ、先の衆院選で高市早苗首相率いる自民党は圧勝した。信任を得たからにはその実現に向け、全力を挙げるべきであることは論を俟たない。一方で、見過ごしてはならないことがある。東京を筆頭に都市は膨らみ続ける一方で、地方では縮小が先行している現実だ。日本には、実に「多様」な地方があり、そこにしかない「営み」がある。その価値の上に、この国家が成り立っていることを忘れるべきではない。歴史的転換点にある中、「豊かさとは何か」を再定義し、「縮小」しながらも「充実」させる〝縮充化〟の実現に向けて新たな一歩を踏み出す時だ。


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