そうした「地域差」があるのに、国が一律に行政水準を定めて画一的に財源保障と行政サービスの実施・提供を行うようでは住民のニーズに応えることは難しく、満足度の向上にはつながらない。
行政サービス確保のための
ナショナル・ミニマム再考へ
そこで、全国どこに住んでいても、それ以下の行政水準になってはならないという行政水準を「ナショナル・ミニマム」として国が定める。そのうえで、この最低限の行政サービスをすべての自治体で提供するために必要な財源は、国が使途を明確にしたうえで全額保障する形で補助金として分配する仕組みをつくるのだ。
ここでいう「ナショナル・ミニマム」は、日本国憲法25条が規定する「健康で文化的な最低限度」という意味ではない。地域によっては住民のニーズに応える形で、それ以上の行政サービス水準はあってよく、全ての地方自治体で、「それを下回る行政水準で行政サービスが提供されることはあってはならない」という意味である。
また、最低限の行政水準は、当該年度における行政サービス受益者である国民が、その年に負担する税金だけで賄える(決して国債に頼らない)程度の水準に設定することが求められる。
具体的には、警察、消防、義務教育の基礎部分、公衆衛生などが該当する。例えば、警察であれば、財源がないから治安維持をおろそかにするような自治体があってはならない。公衆衛生も、財政難を理由に感染症の予防や感染拡大防止を怠るような自治体があってはならない。
もちろん、最低限の行政水準を超えて行政サービスを提供することは認められる。ただし、その最低限に必要な経費は国が財源を全額保障した上で、それを上回る水準の行政サービスや独自に実施する場合には、地方自治体が自ら得た税収などによって、国に依存せずに行うという仕組みにしていくことが望ましい。
「ナショナル・ミニマム」は、使途を特定して国が分配するということだから、現行の国庫支出金を前述のように組み替えればよい。現行の仕組みでは、国の補助は不十分であるにもかかわらず、過度な関与など〝口出し〟が多くなりがちであり、それをなくすことが不可欠である。
図①では、現行の国の関与の仕方のイメージを表している。横軸に、左側から国が強く関与すべき行政分野で、右側に行くほど地方自治体が自主的に判断して実施すべき行政分野として並べるとする。縦軸は、行政サービスを提供するのに必要な財源をどの財源で何割ほど賄っているかを表す。

