稼げるアイスランド漁業
下のグラフは青が日本・赤がアイスランドの漁獲量推移です。日本の漁獲量の減少は止まりませんが、アイスランドの漁獲量は横ばいです。科学的根拠に基づく資源管理が行われていると、このアイスランドの推移のように横ばいになります。
魚種によって「増えた・減った」はありますが、トータルで見るとこの傾向が普通です。数年間であれば、アイスランドのような資源管理を行っている国々では、それぞれの魚種でTACを大きく上回って漁獲することは容易です。しかしながら、資源の持続性を考えてそのような危険で愚かなことはしません。
日本と同じ魚種(学名は異なる)であるマダラやサバを、幼魚まで一網打尽・根こそぎ獲ってしまい、獲り過ぎて魚がいなくなると「海水温上昇」が原因といった責任転嫁をはじめることはしません。
ちなみに26年のアイスランドの海水温は過去最高となっています。しかしながら、例えばカラフトシシャモ漁は20万トンと近年では大漁でした。
日本とアイスランドの漁獲量は、大きく分けて3:2程度であることがわかります。一方で漁業者の数は、約12万人と4000人と大きく異なるので、一人当たりの漁獲量が大きく異なります。さらに、日本のように価値が低い小さな魚を獲ることを避ける水産資源管理制度・個別割当制度(ITQ)が機能しているので、魚価も高くなります。
アイスランドの漁業者の年収は、キャプテン・一等航海士クラスになると、日本円で3000万~4000万円程度と高額なケースが少なくありません。
「水産物は国民共有の財産」という考え
アイスランドの水産業は資源管理の成功でかなり成長を続けています。それは現場を訪問すると実感できます。しかしながら、儲かれば、その恩恵がない人たちからの不満が出てきます。
アイスランドでは、水産物は国民共有の財産です。一方で日本は「無主物」になっていて、これが法律上で資源管理が進まない一因となっています。
一方アイスランドでは、国民共有の財産なのになぜ一部の漁業者が高い恩恵を受けるのか? といった議論が出ています。このため、国民共有の財産である漁獲枠を使って大きな利益を出しているのだから、漁獲枠を使用することに対して課税(水産資源利用税)するといった制度が04年にできています。その課税が12年にマダラの場合4倍となり、当時の為替でキロ約6円が28円に増税になったことは痛手だと買付先が言っていました。

