魯山人の過去と人柄
第3回『秋編』に至って、それまでに描いてきた魯山人の孤独な魂と、偏屈ともいえる人づきあいの齟齬(そご)がはっきりとしていく。
魯山人宛てに内容証明書の封書が届く。その宛名は「房次郎」だった。魯山人は、父を亡くして母親にも捨てられ、「捨て子の房次郎」と幼少期に呼ばれたのが記憶の底に残っていた。丁稚奉公からはじまって、素封家などを転々としながら料理や陶芸を学んできた人生だった。
今回の招待客は、世界的な彫刻家であるイサム・ノグチ(筒井道隆)と、女優にして歌手の山口淑子(一青窈)夫妻だった。月見をしながら、魯山人(藤竜也)が夫婦にふるまったのはナスを炭火で焼いて、その皮を剥いだ料理だった。
イサム・ノグチも気難しいことで知られる。しかし、美を追究する者同士として魯山人は友となったうえに、夫婦に離れで住むことに勧めてそのようになったのである。
彫刻家のイサム・ノグチ(筒井)が、魯山人とともに焼き物に取り組む。
窯出しした茶碗に不思議な文様ができている。魯山人は「備前の土や。土の景色が現れる」と。
イサム・ノグチは魯山人をパパと呼ぶ。「人生、闘いの連続です、パパ魯山人さん」と。
今回は、一青窈が山口淑子(中国人を称していたときは、李香蘭)のヒット曲である『蘇州夜曲』を庭で歩きながら歌うシーンは、戦前と戦後の魯山人をつなぐかのようであった。
