2026年5月15日(金)

Wedge REPORT

2026年5月15日

 万博での商用運航を打ち出し、大阪市内に設置する数カ所のポートと万博会場を結ぶ二地点間運航を目指したが実現せず、技術認証や安全審査が遅れたことなどから一般の人を乗せないで万博会場の一角を飛ぶデモ飛行にとどまった。

 ただ、大阪府と大阪市は30年代に観光などで活用する方針は変えておらず、5月8日に商用運航に向けたキックオフ会議が開催され、ようやく一歩が踏み出された。

いまだ決まっていない夢洲の活用

 開幕前から散々いわれていた万博レガシーの活用に向けて、地元ではさまざまな議論があるものの、いずれも具体性を欠いていることから地に足が付いていない。

 特に深刻なのが夢洲の活用方針が定まっていないことだ。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)が30年秋の開業予定だが、それ以外は大半の計画が固まっていない。

今年4月の大阪メトロ夢洲駅の地上部。半年ほど前までの混雑ぶりがうそのように静まり返っていた(筆者撮影)

 万博会場の象徴だった1周約2キロメートルの大屋根リングについては「残す・残さない」の議論が万博開催中に展開され、閉幕直前の昨年9月に行政と経済界、日本国際博覧会協会で構成する検討会が北東部約200メートルを残すことを決め、10月に周辺に市営公園を整備するなどの「夢洲第2期区域マスタープランVer.2・0」を策定した。

 このプランは今も改定が続いており、今年4月末には、万博レガシーを継承する記念館の建設計画などを追加する方針が決定。大屋根リング周辺を記念公園ゾーンとして整備するもので、リング外側近くに「EXPO2025記念館(仮称)」を置き、万博の記憶や最先端技術に関する情報を発信する。リングの初期改修や20年間程度を想定した維持管理などの財源は、万博運営費の黒字で生まれた剰余金を充てる。

 プランに関する会議に出席した大阪府の吉村知事は「人が居住しない人工島だからこそできる圧倒的な非日常空間を目指すべきだ」「ナイトタイムエコノミー(夜間の経済活動)につなげるなど24時間眠らない島になるのもいい」と夢を描いた。

 当初、開発事業者は25年中に開発事業者を公募する予定だったが、リングの活用策が決まらなかったことなどからずれ込み、6月にようやく始まる。大阪府と大阪市は、夢洲を1~3期の敷地に分け、1期はIR、2期が万博会場と跡地利用、3期で1期と2期の事業を生かした長期滞在型の開発を想定する。

 だが、万博開幕前から夢洲開発に携わったある大阪府幹部は「本来なら万博前に計画を固めておくべきだった」と語り、現状ではIR頼みとなってしまっている跡地活用を不安視する。


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