中国の強み
人型ロボットは古くからSF小説やアニメに登場する「未来社会の代名詞」とも言える。日本や米国をはじめ、世界各国で開発が続けられてきたが、その中でも中国の強みはどこにあるのだろうか?
最大の特長は圧倒的な物量だ。中国・新戦略人型ロボット産業研究所によると、2025年4月時点で全世界の人型ロボット本体の開発企業は300社強。そのうち中国は150社強を占めている。世界の人型ロボット企業の半分は中国にあるのだ。
いや、そればかりではない。その後も猛烈な勢いで増えており、25年末には200社を突破したと伝えられている。
企業数が多いのは、部品やソフトウェア、データを提供する産業エコシステムの整備が進んでいるためだ。新興企業であってもスピーディーに新製品の投入が可能だ。設立からわずか半年程度の新しい会社が立派な製品を発表することも珍しくない。
企業数だけではなく、台数も圧倒的だ。調査会社カウンターポイントによると、25年の導入台数上位4社はいずれも中国勢。5位にようやく米テスラがランクインしている。
全体で1万6000台が導入され、うち中国勢のシェアが8割を超えるという。中国メーカーはその後も生産能力拡大を急ピッチで進めており、26年の導入台数は前年比で10倍に達するとの推計もある。
この圧倒的な物量を見ると、人型ロボット産業の勝敗はすでに決したかのようだ。太陽光パネルや風力発電、バッテリー、そして電気自動車(EV)など、中国は近年、いくつもの新興産業分野で覇者としての地位を築いてきた。人型ロボットでも同じことが繰り返されるのだろうか。
人型ロボットは本当に必要なのか?
中国人型ロボット産業は急速に発展しているが、一つ、課題がある。それは「人型ロボットは何に必要なのか?」という問いだ。
確かに現在の人型ロボットは人間よりも速く走れるし、カンフーやダンスをやらせてもプロ級の腕前だ。
ただし、仕事はほとんどできない。包丁やフライパンを使って料理をするのはもちろんのこと、テーブルの上に乗っているゴミを見つけて片付けるといった作業ですら怪しい。部品をより分ける、荷物を運ぶ、機械を作動させるといった工場で必要な動作も難しい。
スポーツは得意だけど家事も仕事もからっきしという、絵に描いたようなダメ人間っぷりである。

