2026年5月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2026年5月22日

 太陽光パネル、バッテリー、EVなど近年、中国が勝利した産業も最初からゴールがわかっていてはじめたわけではない。今後重要な産業であると世界の注目を集めたトピックに飛びつき、走りながら方針を修正しつつ、最終的には有用な産業へと育て上げた。

 すべて成功したわけではなく、洋上風力など最初は乗り気だったものの途中ではしごを外された産業もある。勝ち筋を見いだす前に走り出し、走りながら修正していくのは中国政府と企業の十八番となりつつある。

日本は「部品」市場を守れるか?

 産業用ロボットでは世界的な大国である日本だが、人型ロボット開発の動きは鈍い。

 巨額の研究開発費を注ぎ込んでも、人型ロボットがいつ使える製品になるのか、どんな場面で役立つのかもわからない。これでは、慎重な日本企業がアクセルを踏めないのも無理はない。

 だが、“根拠なき熱狂”であったとしても、熱に突き動かされて、中国のロボット産業は大きく発展しつつある。特に注目しているのがロボットの“中身”だ。減速機、サーボモーター、コントローラなど、ロボットの核心部品はもともと日本企業が高いシェアを保有していたが、近年では中国メーカーの追い上げが著しい。

 老舗の部品メーカーに加え、自動車部品サプライヤーや産業機械メーカーが続々とこの分野に参入している。大型産業用ロボットの核心部品では今も日本企業がシェアを握るが、小型ロボットの部品では中国企業が躍進。人型ロボット核心部品の国産化率は70%を超えたとされる(「越过“四重门” 人形机器人产业加速进化中」証券時報、2025年8月7日)。

 人型ロボットの最終製品で日本が勝つのか、中国が勝つのか、米国が勝つのかも重要ではあるが、日本にとっての死活問題は現在の縄張りであるロボット部品産業を守れるかだ。

 人型ロボットの派手なカンフーに驚く必要はないが、その“中身”を誰が作るのかという競争には最大限の注意が必要だ。

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