米国民はトランプの交渉力をどうみているのか?
トランプは、米FOXニュースとのインタビューで、習が今回の米中首脳会談で、軍事装備品をイランに提供しないと語ったことを「重大な発言(a big statement)」だと強調した。彼は、自分の交渉力が習から重大な発言を引き出したとアピールしたのである。
しかし、中国は米国をイランとの戦争で泥沼化に導くことができれば、軍事面においてメリットがもたらされるとみているのかもしれない。米国は兵器や弾薬の在庫不足になり、しかも、東アジアからの中東への米兵や軍事装備品の移転がこれまで以上に進み、東アジアにおける米軍のプレゼンスが下がり、抑止力が低下する。中国は「戦わずにして勝つ」ことが可能になる。
トランプは、これまで自分を「ディールの王様」のように演出し、結果、「交渉の達人」と言われるようになった。しかし、現実は異なる。米国民もこの事実に気付いてきているようだ。
米中首脳会談の直前に行われた英誌エコノミストと調査会社ユーガブによる全国共同世論調査(2026年5月9~11日実施)によれば、トランプのイランとの交渉に関して、64%が「効果的ではない」(「いくらか」と「非常に」の合算)と回答した。それに対して、「効果的である」(同)は、36%に留まった。「効果的でない」が「効果的である」を28ポイントも上回る結果になったのである。米中首脳会談の結果をみた米国民の中には、さらにトランプの交渉は「効果的ではない」と認識した者もいたかもしれない。
トランプはイランに対して、「期日」を設定し、「脅し」の言葉を投げかけるが、イランが米国の提案に一向に応じないために、戦闘再開を「延期」するという行動パターンを繰り返している。
その際、トランプは他国からの要請を受けて決定したと、自身のSNSに投稿した。これは、自分が弱いリーダーと見られないようにするための対策として用いているようにみえる。また、「合意は近い」と何度も述べる。現実は違う。
イランのみならず、米国民までもトランプの行動パターンを見抜き、彼の交渉スキルや能力を厳しい目で見るようになると、彼の交渉カードやパワーは減じてくるのである。
