2026年5月23日(土)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2026年5月23日

 もう一つのテーマは、原子力潜水艦の建造協力だった。昨年10月の米韓首脳会談で「韓国での建造、燃料は米国産」という大枠が合意されたものの、その後の実務協議は停滞していた。安長官は今回、核燃料となる濃縮ウランの供給と原子炉技術の移転をめぐる実務協議を早期に開催するとの認識を米側と共有した。

 ただ、核燃料の確保には原子力協定の改定が不可欠であり、推定総事業費20兆ウォンを超える「建国以来最大の兵器事業」はいまだ具体的なスケジュールを欠いたままだ。戦時作戦統制権の転換と原子力潜水艦の取得。この二大課題が実現するためには、乗り越えなければならない難題が山積している。

「戦争の形を変えた」AIシステムの導入を目指す

 韓国空軍が2030年代初頭までに「韓国版MSS」の構築を目指すことが明かされた。孫石洛空軍参謀総長が13日の記者懇談会で表明したもので、MSSとはAI(人工知能)を活用した標的識別・打撃支援システムのことをいう。

 MSSは米データ分析企業パランティア・テクノロジーズが開発した指揮統制(C2)プラットフォームで、衛星画像やドローン映像、電子通信など多様な情報源のデータを統合し、AIがリアルタイムで目標を識別・分析して攻撃コースを提示する。そもそもは17年、米国防総省がドローン映像解析を目的に立ち上げた「プロジェクト・メイブン」を原型とし、多目的なツールへと発展した。

 今年2月末から始まった米軍のイラン侵攻では、38日間で1万3000個の目標への打撃にMSSが活用されたことが明かされ、米戦争省は今年9月までにMSSを全軍の正式プログラムとして採用することを決定した。

 北大西洋条約機構(NATO)も25年にMSSのバージョンを取得しており、軍事AIの事実上の標準となりつつある。日本も24年7月に防衛省が策定したAI活用推進基本方針の中で、標的の探知・識別分野へのAI応用を重点課題として明記しており、MSSに代表される能力の独自整備が各国共通の課題となっている。

 「戦争の形を変えた」とまで評されるこのシステムに着目した韓国空軍は、同等の能力を独自開発する方針を打ち出した。今年末に「AI基盤の韓国型情報収集管理システム」を先行配備し、30年代初頭にMSSと同等の「AI基盤の緊急目標処理システム」へと引き上げる段階的な計画だ。すでに空軍が大学と連携して開発した全軍初の軍事用生成AIプラットフォーム「エアワーズ(AiRWARDS)」を実戦配備しており、その技術が韓国版MSSの土台となる。

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