2026年6月10日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年6月10日

 彼は不快な現実を知る必要がある。安い燃料は人気だが、燃料不足時に消費を刺激する。

 無料給食は人気だが、全員ではなく、発育障害を避けるために妊婦や貧困家庭の幼児に集中する方が賢明だ。農家は肥料購入時に仲買に搾取されているが、その対処には、贈収賄の温床になる農村組合創設より手軽な方法がある。3%の財政赤字上限はいずれ撤廃されるだろうが、まず、有能な当局者が財政を運営していると市場に示す必要がある。

 インドネシアは過去四半世紀、素晴らしい発展を遂げてきた。何代かの現実的政権の元、収入は倍増し、民主主義は定着した。プラボウォは腐敗した専制君主ではないが、インドネシアは発展プロセスから外れつつある。議会反対派や市民社会への抑圧を止めなければ、反対派は昨年のように暴動化する。

 希望はある。プラボウォはレガシーを尊重する。彼は、インドネシアのような巨大な多民族国家の運営は、陸軍部隊の統率とは違うと気付くべきだ。インドネシアには、イエスマンに囲まれた指導者ではなく、異なった声を聴く司令官が必要だ。

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現大統領の4人のゲートキーパー

 Economist誌のインドネシアに対するお決まりの「辛口」コメントだが、今回ばかりは、ほとんどの論旨に首肯せざるを得ない。政策面でのプラボウォ政権の問題は経済分野に極まっており、それがこの社説の主題だからだ。

 また、政権運営の最大問題は、側近政治である。側近が大統領への人的物的アクセスを強くコントロールしており、結果として、「世論」への感度が極端に落ちていることにある。
現在大統領へのアクセスには、4人のゲートキーパーがいると言われている。1人目は、シャムスディン国防大臣(73歳)。大統領とは国軍士官学校同期で、その後も陸軍特殊部隊(コパスス)で共に闘った戦友だ。

 2人目は内閣全体の調整を担当する国家官房長官(日本の官房長官に近い)のプラセティヨ・ハディ。彼は、プラボウォが創設したグリンドラ党の若手ホープ(46歳)であり、国会議員を務め、プラボウォ当選後は、政権移行チームに選ばれていた。

 3人目は、大統領府を管轄する内閣官房長の、テディ・インドラ・ウィジャヤだ。ウィジャヤは37歳の陸軍中将。彼は、ジョコウィ政権時代にジョコウィ大統領の副官、さらにプラボウォ国防大臣の副官を務め、頭角を現した。


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