ロシアとアメリカとの関係
もう二つ注目されることがある。一つは、この社説も述べるように、近年の露朝関係進展の裏返しとして緊張状態にあった中朝関係が今回の習の訪朝により「新たな章」を開いたように見えることである。
軍事協力の強化や経済協力の再開も目指すと言う。経済協力再開は、経済制裁を一層形骸化させる。これで、金正恩は、ロシアに加えて、中国という二つの同盟国との関係を固めた。その地政学的意味は大きい。
北朝鮮の外交の本質は、中露という大国の間で利益の最大化を図る強かさにあると言われるが、この三角同盟は厄介だ。その中で、北朝鮮は「尻尾が犬を動かす」力を持つことになるかもしれない。なお、金正恩は、「一つの中国」原則に対する不変の支持を表明し、台湾が中国の領土であるとの立場を確認したという。
もう一つ注目されることは、金正恩が、経済を含め国内基盤を安定化し、核を含め対外関係を一層強固にしていることで、益々自信を深めているに違いないことだ。最近の英調査機関Verticの分析によると、北朝鮮のウラン濃縮能力は寧辺の新たな施設が完成すれば75%拡大するという。
かかる背景の下で、金正恩が今後、トランプとの会談により強い関心を示してくるかもしれない。注意を要する。しかし、金正恩もイランの事例に見られるトランプの無謀さは恐れているだろう。
エビアン主要7カ国首脳会議(G7サミット)にアウトリーチ参加で出席した韓国の李在明大統領は、トランプと北朝鮮の核問題を巡り意見交換したことを明らかにした。夕食会では1時間半近く、トランプの隣の席に座っていたようだ。
トランプは、「北朝鮮問題についても関心を持たなければならない時が来た」と語ったという。李在明はトランプに、北朝鮮に核開発の凍結を求める「段階的非核化」を提案した。トランプはこれに「それも一つの方法かもしれない。十分に考えてみる」と答えたという。
今後の北朝鮮対応は容易でない。非核化は望ましい目的なるも、実現可能な良い選択肢はなかなかない。米専門家ビクター・チャは、「冷たい平和」を提案する。非核化を長期的目的として維持しつつ、現実も踏まえて、その間の暫定合意によって危機を管理し、安定をもたらすべきだと言う。
