2026年7月6日(月)

家庭医の日常

2026年7月6日

腰部脊柱管狭窄症のマネジメント

 腰部脊柱管狭窄症を疑う症状があり、画像検査でも脊柱管の狭窄を疑う所見が認められれば、不確実性はあるものの腰部脊柱管狭窄症としてマネジメントを進めることは現実的である。

 「腰部脊柱管狭窄症であればすぐに手術をしなければならないのか」と不安になる患者も多いが、診療ガイドラインでも手術治療以外の保存療法(薬物療法、運動療法、神経ブロックなど)から始めることが推奨されている。

 マネジメント方法の選択は、患者・家族の意向を尊重し個別に判断することが重要であるが、実際にどの時期にどれを(単独で、あるいは組み合わせて)実施するかをそれぞれの有益性、害、そして費用対効果も含めて判断することは、現時点でとても困難である。この領域での臨床研究でのエビデンスが限定的で、標準化が不十分だからだ。

 腰部脊柱管狭窄症の病態の多様性、症状の増悪と軽減を繰り返す性質、そして腰部脊柱管狭窄症に関する臨床研究の多くが他の原因による慢性腰痛症の臨床研究と重複しているため、本疾患の治療のみを特異的に評価した質の高い臨床研究が不足している。

 そうした限界を認めつつも、運動療法では、ストレッチ、筋力強化、有酸素運動を組み合わせ、体幹筋の安定性向上や腰椎前弯の軽減を目標とすることが多い。徒手理学療法(理学療法士が直接「手」を使って筋肉・関節・神経などの組織に働きける)と歩行訓練の併用は、短期的改善を示した臨床研究もあるが、長期の効果は明確でない。日本でしばしば薦められる装具療法(コルセットや杖など)や物理療法(温熱・超音波・電気刺激など)の有効性は不十分で、過度な装具使用は筋力低下の懸念がある。

 中長期の目標を立てつつ比較的ゆっくりと進める腰部脊柱管狭窄症のマネジメントであるが、もし排便・排尿・勃起の障害や、自転車に乗った時にサドルが当たる股間・会陰部・肛門周辺に痺れや感覚の喪失が起きた場合には(「サドル麻痺」と呼ばれる)、脊髄の最中心部の馬尾神経が損傷している可能性があり、ただちに専門家と相談して外科的処置が必要か評価する必要がある。

 幸い、U.B.さんの腰部脊柱管狭窄症は、生活の中で腰部の過度な前湾を避けるようにして、主に腰部を後湾させる運動療法をすることで症状が和らいでいる。

 「イスに座ってできる『前かがみグニュー体操』と『おへそのぞき込み体操』、仰向けでできる『ひざ抱えグニュー体操』、先生から教わる体操はみんなユニークな名前ですね」

 「末永く親しみを持って取り組んでもらいたいので命名しました。私が正指導員の資格を持っているゆる体操の名前からヒントをもらっています。一人暮らしの高齢者でも安全にできるように工夫してるんですよ」

 「へぇー、ゆる体操って面白そうですね。今度教えて下さい」

 「わかりました。お楽しみに!」

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