2026年8月17日(月)

都市vs地方 

2026年8月17日

イタリアの地域政策の効果

 最新の研究でも、地域の特色を活かすことの重要性が確認されている。例えば、イタリア中央銀行のマリアー二研究員は、人口、地域の事業所数や住宅価格などに注目して、イタリアの地域政策の効果を検証した。

 イタリアでは、Italian National Strategy for Inner Areasという国家規模の地域政策が2014年から実施された。この政策は、日本の市区町村に該当するCommuneの中で、医療や教育などの生活に必要なサービスが十分に提供されている中心地へのアクセスが悪い地域をInner Areaと認定し、支援対象とするものである。

 Communeの半数以上がInner Areaと認定され、そのうち85%は人口5000人以下であった。こうしたInner AreaのCommuneのうち、産業構造などの基準に照らしてひとまとめにできると考えられるものをプロジェクト地域と認定し、支援対象とした。

 24年の段階で72のプロジェクト地域が選ばれて、そこに含まれるCommuneは982、そこに住む人口は200万人で、1688のプロジェクトを対象に4.1億ユーロ(約760億円)の支援が認可された。23年までに1.6億ユーロが執行されて、501のCommuneに分配された。こうした大規模な地域政策の効果を、14~23年のデータで実証的に検証し、以下のような結果を得た。

 まず、人口や住宅価格への影響は限定的であったのに対して、地域の事業所数を増やす効果は有意に観察された。しかし、その効果は地域により大きく異なり、大きな効果がみられたのは、最寄りのサービス中心地から車で20~40分のところで、中心地が小さめのところだった。

 また、産業の特化がすでにある程度進んでいるところ、行政能力が高い(地方行政機構の質と能力、地方政治家の質、および、地方自治体の財政効率と経済実績を加味した指数が高い)ところ、そして、他の自治体との協力体制が整っているところであった。

日本の地域政策に向けて

 こうしたイタリアについての研究結果を日本へ過度に当てはめることは慎む必要がある。しかし、人口減少に直面するなど、日本とイタリアで共通する課題もあり、参考にできる点も多いと思われる。

 特に、地域政策の効果として、どのようなものが期待できるか、どのような地域を支援対象にするとよさそうか、といった点は注目に値する。例えば、地域のビジネスを活発にすることは期待できても、全体の人口が減少する中では地域の人口を増やすことは期待できないかもしれない。

 また、多くの研究を展望した論文とも共通する点であるが、支援対象としては、すでに産業の特化が進んでいるなど、他の地域の産業に対して十分差別化が見込める地域の方が効果はありそうである。多額の支援を所かまわずばら撒くような地域政策ではなく、事前に十分に検討を行い、効果の見込める地域に、適切な規模の支援を行うようにしてほしい。さらに、事後に政策の効果を検証できるような形で実施することも肝要である。

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