2026年8月11日(火)

教養としての中東情勢

2026年8月11日

 ペゼシュキアン大統領は同じ日「(米国と)合意する最良の時だ」と語っており、ゾルガドル事務局長の発言はイラン国内の主導権争いが強硬派に傾いていることを示唆するものだ。11月の中間選挙まで3カ月を切る中、焦りの色を深めるトランプ大統領が再び総攻撃に舵を切る懸念もある。

勢いづく「抵抗の枢軸」とゲームチェンジャー

 主導権を握るイランはじわじわと米国を追い詰める戦略だ。その柱は「抵抗の枢軸」と呼ばれる中東の連携武装組織を使って攻勢を掛ける作戦である。一時は米国とイスラエルの攻撃で弱体化した武装組織ヒズボラ、イエメンの反政府フーシ派、イラクのカタエブ・ヒズボラなどが息を吹き返しつつある。

 特にフーシ派は紅海を通るサウジの船舶に「海上封鎖」を宣言、紅海の出入り口であるバベルマンデブ海峡を押さえた。紅海はサウジにとって、封鎖状態のホルムズ海峡に代わる重要なルート。フーシ派はこれまでに紅海でサウジの船舶8隻を攻撃したとしている。イラクのカタエブ・ヒズボラも7月、サウジの石油関連施設2カ所を攻撃し、サウジの報復を招いた。 

 こうした「抵抗の枢軸」が勢いを取り戻しているのはイラン支援が強化されつつあることの表れだろう。イランも中東全域への戦火拡大も辞さないとの構えを示しているが、ゲームチェンジャー(状況を変える出来事)になったのは7月17日のヨルダンの米軍基地への攻撃で、米兵3人を殺害したことだった。

 これはイランの弾道ミサイルがまだ十分残っていることを示すと同時に、イランの情報収集力が想像以上に優れていること浮き彫りにした。米国はこのヨルダン攻撃でイランの報復が中東全域に及ぶリスクがあることを現実のものとして理解するようになり、攻撃に躊躇するようになったという。

 イランの強硬派コメンテイターはこのほど、自身のXアカウントに「チキンタコス」の写真を投稿した。トランプ大統領のあだ名「TACO」(Trump AlwaysChickens Out)をもじった皮肉だ。最後までビビって逃げずに戦争を終わらせることができるかどうか、大統領の真価が問われている。

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