2026年8月25日(火)

Wedge OPINION

2026年8月25日

国は事故原因を断定していない

 報道によれば、運転者は68歳の男性で、「速度を出しすぎてぶつかった」と供述しており、過失運転致死傷の疑いで逮捕された。また、4月から少なくとも5回の交通事故を起こしており、警察から免許証の返納を促されていたことも判明している。

 これらを見れば、事故の直接的原因が運転者個人にあると考えるのは自然であろう。もっとも、福島地検は鑑定留置を行い刑事責任能力の有無を含めて判断するとしており、本稿執筆時点で結論は出ていない。

 国の通知もまた、事故の原因や運行の性質には言及していない。金子恭之国土交通大臣も会見で、本件運送行為が学校自ら行ったものか、違法な「白バス」に該当するか否かは調査中とし、結論を留保した。

それでも国が冒頭に並べた事実

 国の通知の冒頭「事故の概要」には、事故状況とは別にいくつかの事実が並べられている。

 学校管理職が本件遠征を事前に把握できていなかったこと。引率顧問はバスに同乗していなかったこと。危機管理マニュアルに危機未然防止対策がなかったこと。そして、学校と事業者の双方が見積書や契約書を交わしておらず、手配の経緯について両者の認識が食い違っていることである。

 報道によれば、貸切バスかレンタカーかという手配形態、運転者の手配主体、そして費用の性質の三点において、学校側と事業者である蒲原鉄道側の主張は正面から対立している。

 要はどちらも自分達が運送の主体ではないと主張しているわけだが、契約書がないため、どちらが事実か現時点で不透明である。

 事故原因も違法性も確定していない段階で、国がこれらの事実を冒頭に置き、7項目の対策を通知した意味は重い。すなわち、運転者個人の過失以上に、学校と事業者を含む生徒輸送の「構造」にこそ事故を招く要因があり、それは全国共通の課題だという認識を示したのである。


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