夏休みが終わり、多くの学校では9月1日から教育活動が再開されている。テレビでは「友達に会えて嬉しい」「2学期も頑張りたい」といった前向きな声が紹介され、子どもたちの笑顔にほっとする視聴者も多いだろう。
しかし、この日は、教育現場にとっては“静かな危機”が潜む日でもある。とりわけ学校管理職にとって、夏休み終盤は「9月1日問題」という難しい問題と向き合う時期である。
【「9月1日問題」とは】
「9月1日問題」とは、長期休業明けに児童生徒の自殺や不登校が増加する傾向を指す言葉である。夏休み明けが生活リズムの急激な変化、学校環境への不安、人間関係の再構築など、子どもたちにとって大きな心理的負荷がかかるタイミングであることは間違いない。実際、教育委員会からは毎年この時期に「見守り強化」の通知が届き、学校現場では「まだ見ぬ子ども達」への対応に苦慮する。
筆者自身、担任時代には心配な生徒に電話をかけて「しばらく会ってないけど、調子はどう?」などと他愛ない話をしたり、学校に来ることへの抵抗感を和らげるために一緒に宿題をしたりと、さまざまな形で寄り添ってきた。こうした「見守り」が子どもたちの学校生活への再適応を支える重要な要素であることは、今も昔も変わらない。
