2026年8月25日(火)

Wedge OPINION

2026年8月25日

「二種免許なし」が招く誤解

 学校と蒲原鉄道との食い違いから、実質的な白バス行為(無許可の有償旅客運送)だったのではないかという疑念が生じるのは避けがたい。報道も運転者が第二種免許を持っていなかったと伝え、「無資格者が運転したから事故が起きた」という印象を与えている。

 だが、一般的に第二種免許が必要となるのは有償の旅客運送を行う場合である。学校が自ら運行した「自家輸送」と評価されるならば、第二種免許が当然に必要となるわけではなく、その有無だけで、直ちに違法な運送だったと判断することはできない。

 ただ、ここで考えるべきは、誰の主張が正しいかではない。今後このような悲惨な事故を起こさないために、何を改めるべきかである。

 仮に今回の運送が白バス行為ではなく、適法な自家用レンタカーの利用と運転者手配であったとしたら、事故は防げただろうか。筆者は「否」と考える。問題の所在はそこではないからだ。

 白バス行為が禁止されているのは、車と運転手をセットで提供して人を運ぶ行為が「旅客自動車運送事業」そのものだからである。道路運送法の下では、旅客自動車運送事業者に対し、第二種免許を有する運転者の確保をはじめ、運行管理者による運行管理、点呼、運転者の健康状態等の把握、車両の整備など、輸送の安全を確保するための仕組みが設けられており、旅客自動車運送事業を行うための基本となっている。許可を持たない者がこれを行うことが禁じられているのは、その体制を欠いたまま人の命を運ぶことになるからである。

 ならば、無償の自家輸送はどうか。国が示した対策では、学校が自ら運転手を確保するか、適法な事業者に依頼することを挙げている。しかし、仮に今回の運送が適法な自家輸送として行われていたとしても、同じ人物が運転席に座ることを防げたとは限らない。

 学校が自ら行う自家輸送は、旅客自動車運送事業とは異なるため、旅客自動車運送事業者に課されている運行管理者制度や点呼制度が、そのまま適用されるわけではない。直前に事故を繰り返していた人物であっても、それを運転席から遠ざける制度上の仕組みが自家輸送には必ずしも存在しないのである。

 したがって、白バス行為は論外だが、白バスでなければよいという話ではない。有償であることを理由に厳格な安全体制を求めながら、無償であれば同じ20人の生徒を高速道路で運んでも問われない構図がある。生徒の命を預かる学校の自家輸送そのものに、安全を担保する構造がないのだ。


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