米ボストンに本拠地を置くクリスチャン・サイエンス・モニター紙の7月28日付で、ピーター・フォード同紙北京支局長が、安倍総理と習主席の中南米訪問は、地域との経済関係を深めるという共通点があるが、その政治的戦略は異なっている、と論じています。
すなわち、安倍総理の中南米訪問は、習近平主席の同地域訪問直後に行われた。日中両国とも、中南米での投資とエネルギー取引を求めているが、その戦略は異なる。日本と中国は、アジアの二大経済大国であり、政治的にはライバルであるが、共に、中南米での影響力を高めたいと思っている。
今回、安倍総理のメキシコ、コロンビア、チリ、ブラジル等の訪問が、習主席のキューバ、ベネズエラ、ブラジル及びアルゼンチンの歴訪の直後となったのは、国会の日程による偶然である、と日本政府筋は強調する。しかし、その偶然も、二大経済大国が世界で競争を繰り広げているように映る。特に、日中関係が、東シナ海での領有権争いで冷え込んでからは、なおさらである。
日本と中国は、中南米で同じものを求めている。谷口智彦内閣参与は、「中南米には、輸出市場としての大きな潜在力がある、…エネルギー及び資源の安定的供給元にもなる」と言う。
日中両国とも投資の機会を探している。特に、ブラジルとメキシコでは、道路、港湾及び鉄道の大型新規案件がある。
その他、日本には、政治的意図がある。来年の国連安保理非常任理事国の選挙である。中国は、それに深く反対している。トリニダード・トバゴでは、安倍総理は、カリブ諸国14カ国の首脳と会談を行った。14カ国は、選挙で14票を握る。
日中首脳の訪問先の選択は、世界における政治の緊張を反映しているようだ。習主席は、米国を悩ませているキューバやベネズエラとの友好関係を祝った。一方、安倍総理は、米国の同盟諸国ばかりを訪問した。