2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月4日

 薄熙来、徐才厚、周永康、令計画らの逮捕・訴追は、政治局員ないしそれに近いレベルの対立を意味していますが、これらの事例を以て今回のキャンペーンが終了するのか、あるいは、さらに拡大するのかについては、まだ判然としません。前三者がどちらかと言えば、江沢民に近い党幹部であるとすれば、令計画は胡錦濤の側近として弁公庁主任という枢要なポストを長年務めた人物であり、令の失脚は、新たに「共産主義青年団」のグループへの攻勢を意味するものかもしれません。その点では、令の訴追事件が、今後、特段の注意をもって見守るべき事項でしょう。

 中国では、伝統的に科挙の制度の下で、権力と財力が結びつくことが普通でしたが、一党独裁体制の下で、このような古い中国の制度が復活ないし拡大し、これを打破することが容易ではない状況となっています。その結果、反汚職というスローガンは、政治闘争や復讐劇の口実として利用されることが多くなっているのです。

 「多くの北京のエリートたちが先行きの不透明さに対し、不確実さ、恐れ、フラストレーションを感じているに違いない」という本論の指摘は、そのとおりであると思われます。

  
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