オトナの教養 週末の一冊

2015年3月20日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――日本では国が積極的ではない?

岩瀬:人材や設備を整えなければ、しっかりと死因を究明することはできないのに、国や自治体が責任を持って取り組んでいないのです。

 10年ほど前に日本の司法解剖の問題点について、『法医学者、死者と語る』(WAVE出版)や共著で『焼かれる前に語れ』(同)という本を書きました。その後、マスメディアの方々が犯罪の見逃しが多いのではないかと注目してくれるようになりました。

 そうした流れの中で、07年に時津風部屋力士暴行死事件が起き、7年ほど前に警察庁も死因究明に関する研究会を開き、私もその委員のひとりとなりました。この研究会の結果を受けて、死因身元調査法や死因究明等推進法ができ、内閣府で法医学の人材と設備をどうするか議論する予定だったのです。ところが、政府はそれらを見事に骨抜きにしてくれました。

――現在は政府の委員になっているのですか?

岩瀬:今はなっていません。ただ、去年6月に死因究明制度の方向性を示す「死因究明等推進計画」が閣議決定され、とりあえず行政と医師会、警察、法医学教室等が各自治体ごとに協議会をつくることになりました。千葉県や東京都の協議会に参加することになるかもしれないとは思うのですが、そこで我々の意見を聞いてくれるのか、何をするのかが鍵になると思います。

――どんなことを意見したいとお考えですか?

岩瀬:まずは死亡診断書や死体検案書といった警察の取り扱った死体を検案した医師が書いた書類がまったく集計されていない現状を改めていただきたいですね。千葉県では警察に年間7500体の異状死が届けられていますが、どんな死因が多いのか全体像を誰も把握していません。東京都23区のように監察医務院制度があるところでは把握していると思うのですが、監察医のいない23区外や他県ではまったくわからなくなってしまう。

 自殺者数の数値にしても、厚生労働省と警察庁の統計が異なるという謎の減少が起きていますが、これは厚生省が把握している死因は、ほとんどの情報が削られてしまったものであり、どこの誰がどんな状況で亡くなったのかもわからない状態の死因を集めてきているからです。それをまずしっかりと集計すれば、何人くらいが孤独死していて、その人たちの何割がどういった診断名をつけられているのかを把握出来ます。

 これくらいはお金がかかることではないので実現させたいですね。

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