新型SSは空軍のF/A-18E/F(将来はF-35)とともに本目標を達成する柱と位置づけられ、その任務は対水上・対潜戦、機雷敷設、対地攻撃(戦略打撃)、戦略監視偵察、特殊作戦支援等と考えられる。
公刊資料から推察すると以上の任務を達成し得る新型SSは水中排水量約4000トン、米国製の戦闘指揮システムを装備し、主要兵器として魚雷・巡航ミサイル・機雷を搭載可能な航続距離1万2000海里程度の潜水艦となる。また推進システムは航続距離を延伸する観点からAIP(非大気依存推進型)システムやリチウムイオン電池の採用が有力である。
これらの厳しい要求を満足する潜水艦は世界で唯一海自主力の「そうりゅう」級を基本とした艦と考えられるが、独・仏はこうした潜水艦を保有しないものの建造可能として本整備計画への参加意思を表明している。一時顕在化した豪国内での開発・建造案は15年2月末現在では沈静化している。
以上の通り新型SSの運用要求は極めて野心的なものであり、搭載武器も米国製の戦闘指揮システム及び魚雷と対艦ミサイルに加え巡航ミサイルが考えられる。また特殊作戦支援機能を具現する艦外設置型シェルターの導入もあり得る。
建造技術面では主要武器が米軍現用の最新型のものとなることから当該装備を狭隘な船体に作り込む(「艤装」)ことが求められ、通常型としては極めて大型の潜水艦となった。
この様な大型かつ高度な装備を搭載する新型SSを建造するため建造所には高度な技術力が求められることも明白である。また、艤装に際しては米海軍・米国武器製造会社との緊密な連携も必須となるが、米国との関係も考慮した場合、本計画に関心を示す各国のうち上述の各要素を全て満たすのは我が国のみと考えられる。
運用面では日豪両国の最新潜水艦による自国の国益保護面の貢献に加え、海自と豪海軍が共通のプラットフォームを運用することは両者の相互運用性の向上のみならず、両国潜水艦がもたらす高度の作戦能力が米海軍部隊運用の柔軟性を向上させ、結果的に米国との同盟を強化することになる。