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2015年4月27日

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石川和男 (いしかわ・かずお)

NPO法人社会保障経済研究所理事長

1989年東京大学工学部卒業後、通商産業省入省、電力・ガス改革に携わる。退官後、内閣官房企画官、規制改革会議WG委員などを歴任。

5400キロメートル超の南北送電網建設を計画

 北部で風力発電を増やし、その電気を南部に流すことが企図されている。現状では北部と南部を結ぶ送電網は脆弱なので、新増設していかなければならない。

 新設2650キロメートル、増設2800キロメートルで、計5450キロメートルの新増設という壮大な計画。

 しかし、実際には送電網建設はそう簡単には進まない。反対が多いからだ。特にバイエルン州など南部で反対の声が大きい。「地域住民は誰でも、自分の家の近くに送電線の鉄塔を建ててほしいとは決して思わない」とのことだが、これは日本でも同じ。

 南北送電網を強化する必要性は、北部での風力発電の導入を進めることだけではない。22年の原子力ゼロ化を目指す上で、電力不足が確実視される南部に対して、北部から豊富な電気を送ることが求められているのもある。

 反対住民への特効薬が用意されているわけでもない。施設建設に伴う地域住民への補償措置は用意されているが、それよりもやはり「地道な説得活動を進めていくことで理解を得ていくしかない」ようだ。

 22年までに5450キロメートル建設するとなると、今年から8年間。1年間で平均680キロメートル以上、1日当たりでは2キロメートル弱の送電網を建設しなければならない計算になる。「それまでに間に合うかどうか、確かなことは言えないが、とにかく頑張って進めていくしかない」と渋い顔で語っていた。

 仮に予定通りに建設が進まなくとも、22年の原子力ゼロ化を延期したり、中止したりすることには「ならない」。この決意は固い。ただその場合、原子力発電所の多い南部での電力不足が危惧される。

 それに関しては、例えば「ドイツ国外にある過剰容量を活用することになるので、過剰容量を保有している発電事業者にとっては魅力ある話になるはずだ」との発言もあった。

 この見方にも驚かされる。ドイツ国外で「過剰容量を保有している発電事業者にとっては魅力ある話になる」かどうかは、全く定かではない。「過剰容量」は自由化が進んでいるEU域内の競争市場では存続が難しい。何らかの補助でもない限り、「過剰容量」を持つ発電事業者がドイツの電力不足時まで存続している保証はない。

 別の見方もある。南部には、ロシアから天然ガスのパイプラインが繋がっている。そこで、原子力ゼロ化の代替電源として天然ガス発電で凌ぐ方法もあるというものだ。

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