世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年8月14日

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 ウファでは、印パ首脳会談、会談もあった。インドとパキスタンは上海協力機構の加盟国になった。

 ウファでは決定的なことは起こらなかったが、アジアでのパワー・バランスの変化への基盤が作られた。習近平とプーチンは今後の力関係について自信を付けてウファを後にしただろう、と述べています。

出 典:Nikolas Gvosdev‘China's Master Plan to Thwart American Dominance in Asia’(National Interest, July 11, 2015)
http://www.nationalinterest.org/feature/chinas-master-plan-thwart-american-dominance-asia-13310

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 この論説は、BRICS首脳会議とSCO首脳会議に臨んだ中国の意図についてよく描写しています。ロシアを更に抱き込もうとしたこと、これまで反対してきたインドのSCO加盟をパキスタンの加盟と抱き合わせで実現し、インドとの関係改善を図ろうとしたことはそのとおりです。それが米国のアジアでの軸足移動を念頭に行われたことも疑いありません。しかし、これでアジアでのパワー・バランス変化への基盤が作られたというのは、過大評価でしょう。

 中ロ関係については、ロシアは、経済的苦境、国際的孤立のなか、中国のジュニア・パートナーになることへの大きな心理的抵抗を乗り越えて、中国に擦り寄らざるを得ない状況だったでしょう。しかし、中印関係については、そういう事情はなく、パキスタン問題、領土問題などを考えると、関係の改善はそう簡単にはいかないと思われます。

 開発金融、インフラ金融の分野で、中国はブレトン・ウッズ体制に挑戦するようなことをAIIB設立などでしています。BRICS首脳会議やSCO首脳会議がそういうことを推進する場になってきています。ウファの会合の意味を過大評価してあわてる必要はありませんが、今後の動向にはそれなりの注意を払う必要があります。

 インド、パキスタンがSCOの加盟国になったことはそれなりに重要なことです。SCOは主としてユーラシア諸国を対象とする機関でありましたが、それがインド亜大陸をも対象とすることになりました。世界人口のかなりの部分がカバーされます。インドとパキスタンとの関係に及ぼす影響を含め、その影響を幅広く考えてみる必要があるでしょう。

  
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