2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年8月26日

 米下院軍事委員会シーパワー・戦力投射小委員会のフォーブス委員長が、7月16日付けウォールストリート・ジャーナル紙への寄稿にて、米国は種々の対台湾軍事交流等に係る制約を撤廃し、台湾を合同演習に参加させる等米の安全保障体制の中に含めていくべきである、と主張しています。

画像:iStock

 すなわち、中国の「平和台頭」論は不誠実なスローガンとなってしまった。中国は隣国の領有権主張を無視して南シナ海では人工島を造り、大砲や滑走路を設置している。南シナ海でも国防識別圏を設定すると見られている。隣国漁船の威嚇や領海、領空の侵犯は恒常的になっている。

 豪州、日本、越などは、米国の強い対応を求めるとともに、米国との関係強化を図ろうとしている。しかし、米国は、中国との対立を避けるため、台湾に種々の屈辱と困難を強いて来ている。台湾が必要とする武器の供与を定める台湾関係法が成立して36年が経つというのに、米国の指導者達は、つまらない、逆効果を招く台湾政策を取っている。

 大佐以上の米国軍人は台湾を訪問できない。台湾の総統や高官はワシントンを訪問できない。訓練のため米に向かう台湾の軍人は、制服を着て入国することができない。台湾の海軍兵学校生はハワイやグアムを訓練訪問できない。友好国台湾に対するこのような卑劣な規制は、米国の対中関係の実体を露呈している。台湾、チベットや人権など中国が敏感な問題に対して、米国の政策立案者達は一貫して屈従的な宥和姿勢を取ってきた。かかる米国の姿勢は、中国を一層大胆にさせ、同盟国の安全と国際ルールを守るという米国の信頼性も損なって来た。

 米国の台湾政策は、安全保障上の協力関係と民主主義の進展という米国の戦略的利益を反映すべきもので、中国の指導者の怒りを買うのではないかとの恐怖を反映するものであってはならない。米国は、二国間関係の規制を撤廃し、台湾の軍事力を米の安全保障体制の中に含めていくべきだ。

 まず、空軍レッド・フラッグ合同演習などの主要訓練への参加を招請すべきだ。米台は、先進レーダーデータの共有、損傷滑走路の修繕、人道支援などの分野で軍事協力を進めているが、高度な協力には依然慎重である。


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