定年バックパッカー海外放浪記

2015年9月19日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年、横浜生まれ。神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

 ちなみにギリシアで町の警察とは観光警察であり、観光立国のギリシアでは外国観光客のトラブル解決のため英語など外国語を解する警察官が観光地では常時パトロールしている。

 「警察が来るまでここで待たせてもらいましょうか」と私は余裕の表情で続けた。そのとき最前より奥の個室のガラス越しに当方をチラチラ見ていた支店長氏が美形マネージャーの机に来て何かを指示した。支店長氏は女房か恋人に逃げられたのか無精髭、寝癖の付いた髪、よれよれのワイシャツ姿であるが昔のイタリア映画に出てくるような哀愁を帯びた容貌である。彼女は顔色を変えて何か支店長氏に抗議しているようだ。

 彼が個室に戻ってからも彼女は当方を無視して20分以上も全く別の事務作業をしていた。それから渋々パソコンを立ち上げて小生が渡した取引明細のメモを見ながら検索していた。

 「貴殿の指摘する取引2件、すなわち200ユーロの引き出しは既に三日前に取り消されている。従い貴殿は何も心配する必要がない。早々にお引取り願いたい」といきなり鉄面皮な表情で横を向いたまま無機質に言葉を投げつけてきた。

 「システム記録上キャンセルされたことは了解した。しかし日本のクレジットカード会社に直接確認したい。そこの電話を使ってコレクトコールでクレジットカード会社に電話したいので便宜をはかってほしい」

 「当支店には国際電話回線はありません。速やかにお引き取り下さい」

 時計は既に12時前。これ以上馬鹿女を相手に時間を無駄にするのも癪なので支店を後にした。帰りのバスではゆっくりと車窓に展開する純白の街並みと碧い海の鮮やかなコントラストが目に染みた。

200ユーロ問題も片付き絶景プールを独占してご満悦の筆者

⇒第5回に続く

  
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