ロシアでは、原油安と経済制裁が響き、財政事情が悪化し、国民のプーチン政権への不満が高まっている。15年のGDP成長率は3・8%のマイナス成長に陥る見込みだ。
シリアへの軍事介入は地政学リスクを煽り、原油を高価格に誘導したい意図があるともいわれる。サウジは新たにポーランドへの原油販売を開始したが、熾烈な競争でロシア産原油が値下がりしたのも打撃となった。
サウジは財政事情が深刻化するなかで、国内では、テロが頻発し、IS対策に追われ、シリアに向かう若者が増え、イエメンでの空爆も長引くなど、厳しい情勢に直面しており、SNSでも体制批判の声が流れるようになった。
目前に迫る制裁解除
高まるイランの影響力
Towers Watsonによる最新の給与調査では、サウジは16年の賃上げが5.5%と想定されている。体制批判を抑えるためには賃上げは続けざるを得ない状況にある。
サウジが苦しむ一方、核交渉に合意したイランは、制裁解除を目前にし、海外からの投資が増加すると期待が 高まっている。中東地域におけるイランの影響力が相対的に高まり、サウジに代わって盟主に躍り出るといった見方もでてきている。これはサウジにとって最も許容できないシナリオだ。
サウジをはじめとするOPECはシェール生産者との戦いには一定の勝利を収めたが、国内では厳しい財政事情に直面し、正念場に立たされている。戦略が反転するタイミングを世界が注視している。
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