国家新聞出版公電総局のさまざまな条件
ただし、このような大仕掛けの映画を中国で製作するためには、「中国にある映画製作会社との共同制作が求められる」とブレンブル氏。さらに、中国での映画撮影が数分しか使用されないなど、マイナーなシーンだけでは製作は許可されない、製作前に台本が検査される、主人公の半数は中国人を起用する、製作後には再検討がある。これは、一部だが、このように、中国の政府機関、国家新聞出版公電総局のさまざまな条件をクリアしなければ、中国では映画製作ができない。このため、中国で製作を考える映画プロデューサーは、これらの観点を踏まえて取り組み、製作したい映画がそれらの条件にマッチするかどうかを見極める必要がある。
このカンファレンスに出席した独立系の映画プロデューサーの女性は、「中国で映画を製作することは今まで考えたこともなかったが、自分のメキシコ系アメリカ人という特性を生かし、メキシコ人と中国人を主役にした作品の共同製作を考えたい」とご満悦。さらに「中国で映画製作する際に条件を設定することは、すばらしいアイデアだ」と絶賛する。「メキシコの映画市場は、すでにアメリカに独占され、メキシコ人でもメキシコで映画製作が難しい状態。だから、自国を守る法案は得策」だと話した。
中国をテーマにしたカンファレンスの第2部「中国のマーケティング&配給」では、4人のパネリストによる討論が行われた。まず、中国における映画のマーケティングの方法について、「iQIYI.com」の副社長、ヤン・シャンファ(Yang Xianghua)氏から、「中国の映画の宣伝は、コマーシャル料が高額で予算に見合わないため、テレビではめったに行わない」と現状が伝えられた。実際に使用されるのは、タブレット端末やスマートフォンなど、モバイルデバイスやポッドキャスト、ウェブキャスト、インターネットだ。
また、配給に関しては、「もっぱらWeChat(スマートフォンで、無料通話やチャットが楽しめるコミュニケーションアプリ)やSNSを通じて」だ。「これらでトレーラー(映画の予告編)を配信している」。「ドラゴンゲート・エンターテインメント」のCEO、ウィリアム・フェイファー(William Pfeiffer)氏も、中国では、グループチャットが主流で、これがビジネスの世界でも普及し、ものすごいスピードで情報が拡散されている」と裏付けた。
また、中国人の傾向として、評判のよい映画はどれほど評判がよいかを見に行くのと同じように、評判の悪い映画は、どれほど評判が悪いかを見に行くと、ディレクターのジアン・ハイヤン(Jiang Haiyang)氏から伝えられた。
「共同製作に非常に興味を持った。中国と文化交流を行えるような映画を製作すれば、映画鑑賞者が確実に増えるのが、魅力的」。このように話すのは、ヨーロッパの独立系映画プロデューサー。中国の現状を把握するパネリストたちの声は、多くの独立系プロデューサーたちに中国における映画製作を奨励した。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。