2024年5月21日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2016年3月13日

日本で志願兵を増やすためには

ーー世間ではこのままでは日本でも徴兵制がひかれるのではないかと危惧する声も聞かれます。

布施 確かに徴兵制を引けば強制的に人員を確保することはできます。しかし、日本のように選挙で多数派を占めた政党が政権を握る民主主義国家で、徴兵制を主張しても選挙には勝てないでしょう。つまり、政治的なハードルが極めて高いので徴兵制は難しいと考えています。

ーーこれまで入隊者について聞きましたが、退職者はどうなのでしょうか?

布施 増えていますね。こちらも一概に安保法制だけが影響しているわけではなく、民間の雇用情勢が改善していることも影響しています。退職すると言っても、再就職先がなければ退職できませんから。つまり、不景気の時は再就職先も少ないので退職者は減り、景気が改善すれば退職者も増えます。

 しかしながら、自衛隊員のリスクが高まれば、当然退職者も増えます。一応、建前上は「非戦闘地域」での人道復興支援活動であったイラク派遣時ですら、中途退職者が急増しました。

ーー徴兵制がほぼ無理な状況で、高校生を始め、志願する人達を集めるにはどのような方法が有効でしょうか?

布施 志願兵を集める方法は主に2つしかありません。1つ目は、アメリカのように福利厚生を充実させ、給付型の奨学金制度を設けるなど、自衛隊に入隊するメリットを民間と比較して良くすること。

 2つ目は、教育によって将来自衛隊に入隊したいと愛国心に燃える子供を育てることです。

 私が入手した自衛隊の内部文書には、自衛隊への志願者が少ないのは、国民の国防に対する知識や意識が低いからだと分析し、「学校教育における安全保障教育の推進」を打ち出しています。ただ、日本は戦後70年平和憲法の下で平和主義が社会に定着し、世界価値観調査という国際的な調査でも「自国のために戦う」と回答した人が15パーセントと、78カ国中断トツで最下位となっています。それくらい戦争を忌避する意識が浸透しているので、それを変えるのは並大抵のことではないでしょう。まして、安保法制が成立して自衛隊が海外の紛争地域で危険な任務に就く機会は増えるでしょうから、そういうリスクが誰の目にも明らかになった時は、志願者が大幅に減るのは間違いないと思います。

 そう考えると、1つ目の福利厚生を充実させる、まさにアメリカ的な経済的徴兵制にしていくしか方法はないように思います。人間は食べていかなくてはいけないので、ほかに選択肢がなければ志願する人もいるとは思いますが、アメリカと日本ではそもそも軍隊に対する考え方が違いますから、アメリカ以上に難しく、個人的には集まらないと思いますね。


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