2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年3月16日

 当初日本が建造することについて、豪州での雇用を確保すべきであるとして反対論があったが、日本が豪州で建造することにしたので、もはや反対の理由はない。

 また「そうりゅう」が現存するのに対し、独仏はまったく新しい潜水艦を作ることになるので、日本の方が技術的、商業的リスクが少ない。

 新型潜水艦建造での日豪協力は、天で作られた組み合わせとも言うべきものである。

出 典:Greg Sheridan ‘Japan building Australian submarines is a match made in heaven’ (Australian, February 11, 2016)
http://www.theaustralian.com.au/opinion/columnists/greg-sheridan/japan-building-australian-submarines-is-a-match-made-in-heaven/news-story/a1b649543dcefc8c839157f75eaac228

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経済的メリットよりも重要な戦略的意義

 豪次期潜水艦建造計画の受注をめぐり、日本の官民連合、独仏の企業の三者がしのぎを削っています。総額500億豪ドル(4兆円強)の超大型契約であり、経済的メリットは大きいです。

 しかし、より重要なのは戦略的意義で、日本が受注すれば、日豪の戦略的関係が強化され、ともに米国の同盟国なので、日米豪の戦略的関係が強化されることになります。これは日本にとって望ましいことであるのみならず、豪州も論説から見る限り望ましいと考えているようで、心強いです。論説によれば、米国も日本が受注することを期待しているとのことです。

 ただ、独仏企業の働きかけも軽視できません。独仏2社は国際的兵器取引の経験が十分あり、この点日本は不利になります。また、フランスは、豪州が必要とする潜水艦を提供できるのは「完全な潜水艦大国」であるフランスだけだと言っています。フランスが原子力潜水艦を持ち、かつ海外での建造実績があることを強調しているのでしょう。

 豪政府は、本年半ばまでに共同開発相手を選定する方針とみられますが、選定にあたっては、技術的側面だけではなく、戦略的考慮もすることを期待したいものです。

  
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