ドローン・ジャーナリズム

2016年9月11日

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 今年の大松明は87本。主に地元企業からの奉納によるもので、点火するときはその会社の社長が代表で点火を行う。無病息災、五穀豊穣などを願い、まずは富士吉田市長や祭典の世話役係り長老が点火し、その後、順次点火が行われる。大松明だけでなく、個人宅や沿道に沿う家々で用意された小型の松明も焚き上げられる。

 北口本宮冨士浅間神社から町をくだり、2kmほどのところにあるのが「金鳥居」だ。富士山の「一ノ鳥居」で、俗世と富士信仰の世界とを区切る境界線にあたる。富士講たちのための宿泊所である「御師」の家も、この鳥居の先の「富士みち」と言われる現在の国道137号線沿いに複数点在している。ドローン撮影は、この金鳥居すぐ横の私有地からドローンを離陸させ、敷地内をはみ出ることなく真上に飛行させた。延々と続く大松明のゆらめく炎と、その先に浮かび上がる美しい富士山の姿をドローンならではの俯瞰で捉えることができた。

 この映像を見ると、この町はまさに富士の裾野に位置しており、言い換えれば富士と一体、まるで富士山に抱かれている町である。灯された大松明の炎のラインは町を貫いてまっすぐに富士山に続いている。この町の人々の古来変わらぬ富士山への畏敬の念と祈りを、この映像を撮ることによってさらに強く感じることができた。

 火が燃え盛る沿道は、地元の人や観光客でいっぱいになるが、そのなか松明は赤々と燃え、火の粉が舞う。松明の近くは当然かなり熱い。みな口々に「熱い、熱い」と言いながらも、ゆらめく炎を楽しそうに眺めながら沿道を歩いて行く。日々、富士山とともに生きる富士吉田の人々にとって、この火祭りは厳に大切な祭りであり、まさに郷土の誇りであろう。

 この祭りは台風が来ても中止することはなく、また、今まで一度も火事を出したことがないという。大松明の炎は深夜まで燃え続け、次の日に行われる「すすき祭り」で鎮火祭は終了となるが、この祭りをもって富士吉田に秋が訪れるのだという。

北口本宮冨士浅間神社 / The Sacred Shrine, Leading You to Mt. Fuji
https://youtu.be/FZwEYbPD24Y

  
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