日本マクドナルドは、立ち寄りたくなる「場」を提供することで集客を目指す。今年7月に配信されたスマホゲーム「ポケモンGO」とのコラボで、店舗がゲームのアイテムを入手できるスポットになるなど話題を集めた。10月には、動画配信サービス「Netflix」を無料で利用できるようにし、スマホなどで映画やドラマを楽しめるよう店内環境を整えた。
13年に実施した「注文後1分以内に商品を提供できなければ無料」という企画に見られるように、店の回転率が同社の戦略の1つでもある。だが、前述のサービスで、スマホを片手に長く居座られると回転は途端に悪くなる。同社広報は、「そうした懸念は特にない。それよりも、まずは店に足を運んでもらうことが大事だ」と話す。
企業の強みに悪影響を及ぼす恐れがありつつも、それでも客足を伸ばすために行うこれらの戦略は、まさに〝奥の手〟といえるだろう。
消費のパイが萎む中、商品構成や販売方法にメスを入れ、抜本的な変革を進めているのがコンビニだ。
ローソンは今年6月、全国約1万2000店のうち8割弱の店舗で、販売品目を生鮮食品を中心に2割程度増加させた。同社広報は「郊外に大型ショッピングモールが建った影響で、街中にあった小さなスーパーが減っている。主婦や高齢者に近隣のコンビニで買い物を完結してもらえるようにしたい」とその狙いを話す。店舗のない地域においては、今年11月から自社開発による専用車両を用いた移動式販売を始め、売り込みを行っている。
異例とも言える「新型デフレ」が社会構造の変化に起因するものであるならば、それは今後、常態化、深度化していくだろう。従来の自社の強みや業態をも打ち破る挑戦的な戦略が企業に求められている。
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