2024年12月22日(日)

サムライ弁護士の一刀両断

2016年12月12日

著作物の「ただ乗り」は許されるべきでない

 キュレーションメディアには低コストで運用可能であるという利点があります。利用者としても手っ取り早く情報を得ることができる便利さがあるでしょう。

 しかし、キュレーションメディアが、引用の名の下に、他者が費用と労力をかけて創作した著作物を無断で転載し、いわば他者の著作物にただ乗りする形で利益を得ているのであれば、それはまさに著作権法による規律が及ぶところだと思われます。

 もちろん、キュレーションメディアの中には、著作権者に適切な許諾を得るなど、著作権の問題を意識した運用がされているものも数多くあります。しかし、アクセス目的のために著作権者に無許諾でコンテンツを粗製乱造するメディアも少なくないのが現状です。

 他者の著作物を安易に利用してアクセス目的のコンテンツを作ることは、コンテンツの正確性や適法性の検証もおろそかになりがちです。このことはインターネット全体の質の低下につながりかねません。今回の「Welq」の件は、キュレーションメディアが今まで抱えていた問題点が噴出したもののように見えます。

 Welqの運営会社であるDeNAは、謝罪会見で「著作権への意識や質の担保など、本来メディア事業として行わなければいけないことへの認識が、自身に欠けていた」などと述べました。同社にはこの言葉の通り、高品質な情報提供に期待したいところです。

  
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