Wedge REPORT

2017年2月14日

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 2016年の日本映画界は、非常に活況に満ちた一年となった。

 2015年に続いて興行成績は好調を維持し続け、結果的に過去最高を記録した。さらに2010年代を代表するかのような3本の映画も登場した。『君の名は。』、『シン・ゴジラ』、そして『この世界の片隅に』だ。先に結論だけ述べておけば、この3本は「ポスト3.11の時代」を象徴する映画だった。

 前編では、全体の情況を確認し、映画観客が能動性を高める現象や、評論家たちが影響力を失っていることなどを読み解いてきた。今回は3本を中心に映画の作品内容と、映画を取り巻く日本社会との関係を見ていく。

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日本映画の中心となったアニメ

 後編では、まず作品内容について見ていこう。ここまで触れてきたように、2016年の注目作3本──『君の名は。』、『シン・ゴジラ』、『この世界の片隅に』は、すべてアニメやアニメ出身者による映画だった。これはけっして恣意的な選択ではなく、21世紀以降の日本映画の情況から考えても大きな成果と呼べるものだ。

 振り返れば、そもそも日本映画復活の要因のひとつはアニメだった。90年代まで低迷していた映画興行は、アニメによってなんとか維持され、それが00年代以降の復活に繋がった。このアニメ映画には、大きく分けて2つのタイプがある。毎年定期的に公開されるテレビアニメの劇場版と、単発アニメだ。

 テレビアニメの劇場版では、先駆けの「東映まんがまつり」(1969~90年)や『ドラえもん』(1980年~)からずいぶん遅れながらも、段階的に整備されていった。具体的には『クレヨンしんちゃん』(1993年~)、『名探偵コナン』(1997年~)、『ポケットモンスター』(1998年~)、『ONE PIECE』(2000年~)、『NARUTO』(2004~2015年)、『プリキュア』(2005年~)、『妖怪ウォッチ』(2014年~)などがそうだ。とくに東宝は、正月・春・ゴールデンウィーク・夏前後半・冬と、子供たちの学校が長期の休みに入る時期に合わせて人気テレビアニメの劇場版を揃えていった。

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