『銃は一番扱いやすい商品(merchandise)なんだよ』
店員のいるレジの後ろの棚やレジ横のショーケースはすべて銃器であった。ライフルやショットガンが壁一面に林立している。店員の白人青年は鼻にピアスをしているが意外と几帳面な性格だ。質屋での業務経験5年でありオーナーから営業を任されているという。
銃器がどうして沢山あるのか理由を聞くと売り手・買い手ともに多く流通性があるからだという。ライフルや拳銃の買取価格をどうやって判断するか聞くと、一冊の分厚い本を見せてくれた。“Blue Book of Gun Values”というタイトルでありいわゆる『銃の価値鑑定年鑑』だ。銃器のメーカー、型式、製造年次により市場取引価格が検索できる。
西部劇で酒代に困ったガンマンが酒場のオヤジに拳銃を預けるシーンがあるが、銃器類は腕時計同様に値段が張る商品であり銃を換金するのは西部開拓時代からの伝統なのかもしれない。その後各地を廻ってみて気づいたがガンショップと質屋を兼ねている店が多く、ガンショップと質屋が隣り合っていることも多い。
過剰消費社会における質屋の社会的役割
ピアス青年によると銃の他に換金性の高いものがエレキギター、ドラム、アンプなどの楽器類であると。若者は十代の頃に楽器をやるが大半は数年たつと飽きてしまい売りに来るという。その他にキャンプ用品・バイクなどのレジャー用品も定番という。要は生活必需品、実用品ではなく多少値が張る趣味・レジャー関係品は売買双方が多数存在するので流通性があるのだという。
米国は極端に貯蓄率が低く消費性向が高い過剰消費社会というが町の質屋が不要になった耐久消費財のリサイクルシステムの一端を担っているようだ。
⇒(第5回に続く)
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