オモロイ社長、オモロイ会社

2017年5月16日

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杉浦佳浩 (すぎうら・よしひろ)

代表世話人株式会社代表

三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。 日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、 部品メーカー等の主力工場を担当。 退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に20数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。 社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。

 福井さんにご自身に振り返って頂くと、

 「ベースとなるのは母子家庭で育った環境にあると思います。1歳で父親がガンで他界し、就学前の3人兄弟にとって、片親での生活は様々なハンデがありました。元々は小さな頃から長男の僕が母親を支えなければならないと考えていましたし、もし自分の子供ができたらお金でこんな惨めな思いはさせたくない。そんな思いから小学4年生で起業を決意し、友達と遊ぶときも買い食いはせず、アルバイトもして、お金を貯め起業準備をしました。

 実際に5年生で出会ったパソコンの可能性を感じ、6年生でパソコンに投資してプログラミングを学び、夜学に通いながら19歳からプログラマーとして働きました。そして26歳で起業、29歳で1度目の会社売却をすることになりました」

 具体的には、新卒でNTT に入社後、1997年、NTT時代に出会った2人とともに世界初となる無料メーリングリストサービスを提供するITベンチャーを創業。2000年に楽天に事業を売却。2000年、日本初となるメール対応などIT業務のアウトソーシング事業を創業、2001年、マンション購入者向け口コミサイトなど多事業を立ち上げる。2005年、当時知り合ったメンバー3名でミクルを創業し、代表取締役就任、現在に至ります。

Q 中心メンバー10名がバラバラに仕事をしていると伺いましたが、それならば、一緒の会社でいる必要はないのではありませんか?

10名それぞれが責任を持つ事業はたしかにバラバラなのですが、「仕事」はバラバラではありません。下記の資料を御覧ください。

上記のようにプロジェクト制を敷いており、メンバーそれぞれが協力しあってお互いの経験もシェアすることで、事業の成功確率を高めています。資料内でいう「ディレクター」という担当が責任者です。僕(福井さん)以外の9名のメンバーはそれぞれの責任を持つ事業領域を開拓していますが、僕はどこにも属さず、ライフワークである創業2年目からのアイデア研究に没頭しています。

ミクルを成長させているのは、僕ではなくそれぞれのメンバーの努力の賜物なのです。ミクルの「会社概念」はカンパニーのそもそもの概念である「仲間」が助け合う場としての会社なのです。支配と被支配の関係の従来の意味の会社ではありません。内部的には「共同体」と呼んでいます。

Q 時間持ちの概念の浸透、社員が集う事務所が無い環境について起業以来問題はありませんでしたか?

これは僕自身が、短時間だけ集中して仕事をする勇気をまず持つこと。そこからでした。

自宅やカフェでも十分仕事が出来ると思いませんか? 会社に行かない選択が出来る時代であると感じます。 「満員電車に乗りたくない」「朝のんびりしたい」「仕事を夜中などやりたい時にやりたい」。僕も含めて世間的にはみんなサラリーマン的に優秀ではないんです。そもそも仕事や勉強でも集中できるのは実際3時間程度ではないですか? 作業は仕事ではありません、考えを集中し、枠組みを無くして、3時間だけ働くことに集中してみる。上流工程を考え抜き、 運用できる仕組みをしっかり設計し、実践し、自分で雇ったスタッフに作業は依頼してしまう。そんな働き方が、ミクルの働き方なんです。その上で自分を律することがまずできること、それが可能であれば、クラウドカンパニーは成功する。

 それから、会社のメンバーを、「信頼」「信用」「尊重」できると、事務所は必要ない。そしてメンバーは会社を辞めることもない。そう考え会社を運営しています。

Q ミクルが11年間黒字を達成できたことについて

リーマン・ショック、震災がありながらも、増収を続け黒字達成が可能となりました。でも並大抵ではありませんでした。

一方で、稼げるサービスでも稼ぎすぎない。責任者は何かと我慢することが大きかったと思います。 安定的な右肩上がりの中で、大きな売上アップを目指さない、プラットフォームを作り多くの利用者さんが無料で使い続けてもらえることを徹底し、稼ぐことを後回しにした。

上場しない選択を当初から決めていたことも大きいと思います。大金持ちは目指さない。自由でありながら、ささやかな生活が一生続けられる仕組みを作りたいと考えました。

その結果、ITサービスを1つ成功させるだけでも難しい時代に月間100万人以上が訪問するサイトが4つ。主にアメリカを中心とした世界展開で成功しているサービスが1つ。今年立ち上げる新規事業が5つ。それをたった主要メンバー10名で攻め続けている会社となりました。

Q ミクル株式会社の採用ルールについて

ミクルメンバーになる採用のルールとして誰かが「一緒に働いたことがある」、または「何年も友達の関係を続けている」という条件を設けています。ここを守ることで、11年間誰も関係を断とうとしない、会社側は安心して人材へ投資できます。

また、社内でのルールには「多忙禁止」「期日ある仕事禁止」というものがあります。これは全て家族の時間を優先するために設けています。このルールを10年以上続けてきて、一定の成果を出してきたことで、そろそろ外に向かって、こういうことが大事な時代が近づいて来ましたよ、人生を豊かに生きようと頑張る 「時間持ち」の方が良いよね? と気付き始めている人々に発信しても良いかなと思っています。

Q ミクル事業の先に見据えていることはありますか?

これは個人としての想いですが、そもそもミクルの起業は、アイデア理論の研究をするためだったんです。アイデアの研究を一般財団法人として行っている。「ひらめき財団」こちらの活動を拡大していきたいと思っています。特に既成概念に囚われない小学生の皆さんに使ってもらいたいのです。あらゆる発想法のベースとなる理論でして、誰でもすごいアイデアが出せてしまう、これからの時代に大きく貢献できる理論です。実際に事例も増えてきており、大手企業でも相当の評価を得ています。

 アイデアが溢れ出すことで、既成概念に囚われることなく働き方にも良い影響力を創出し、生産性を上げることで、「時間持ち」の世の中を創出したいと思っています。「お金持ち」になるのは難しくても「時間持ち」には会社や社会がルールを作って、みんなが守れば、多くの人が今すぐにでも実現可能な環境が出来上がっているからです。上手く行かないことも色々とありましたが、誰かが10年以上も実践していると知ることで自分もチャレンジしたいと思ってもらいたいなと考えています。

  
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