中東を読み解く
イスラム国、シリア、イラク、イラン、トルコ、そして米露、イスラエル。混迷を極める中東情勢の動きを共同通信社記者としてカイロ支局に駐在していた筆者が解説する。
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2021/03/15 佐々木伸
内戦の続くアフガニスタンの和平をめぐる動きが慌ただしくなってきた。駐留米軍の全面撤退期限を前に、バイデン米政権がアフガン政府と反政府勢力タリバンによる「暫定政権」樹立や、周辺国を巻き込んだ和平会議などの新提案を打ち出したためだ。だが、米国…
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2021/03/08 佐々木伸
サウジアラビア東部ダンマン近郊で7日、国営石油サウジアラムコの施設がミサイルと無人機により攻撃され、サウジと敵対するイエメンの反政府勢力フーシ派が攻撃実行の声明を発表した。大きな被害はない模様だが、一昨年の攻撃ではサウジの石油生産の半分が…
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2021/03/06 佐々木伸
ローマ教皇フランシスコのイラク訪問が3月5日に開始される中、駐留米軍にロケット弾攻撃が行われるなどイラクを中心にきな臭さが漂っている。バイデン大統領は先月、シリア東部で政権発足後初の軍事行動に踏み切ったが、きちんとした「レッドライン」(超…
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2021/03/03 佐々木伸
バイデン米政権がイラン核合意復帰に向けた動きを見せる中、イスラエルとサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの湾岸諸国が米国抜きの「中東版NATO」創設を模索し始めた。これら4カ国はいずれも米国の強力な同盟国。米国によるカシ…
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2021/02/26 佐々木伸
世界最速で新型コロナウイルスのワクチン接種を進めているイスラエルのワクチン外交に批判が高まっている。占領地のパレスチナ人の健康問題よりも、係争の聖地エルサレムをイスラエルの首都と認定した国などへワクチンを供給しているからだ。背景には3月の…
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2021/02/22 佐々木伸
バイデン米政権のイラン核合意復帰をめぐって両国の駆け引きが一気に激化している。米側がイランと対話の用意があると発表したのに対し、イランは米国が制裁解除をしない限り、国際原子力機関(IAEA)の抜き打ち核査察を2月23日に停止するとの強行姿…
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2021/02/07 佐々木伸
バイデン米大統領は2月4日、就任以来初となる外交方針を発表し、同盟国重視と世界への関与を打ち出し、米国の伝統的な価値観外交に回帰することを明確にした。だが、懸案のイラン問題には言及がなく、またトランプ前政権で強力な同盟関係を誇示してきたイ…
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2021/01/07 佐々木伸
サウジアラビアなどアラブ4カ国とペルシャ湾の小国カタールが1月5日、3年半に及ぶ断交に終止符を打ち、和解に合意した。だが和解とはいえ、内実はカタールの完勝だ。対決を主導したサウジが譲歩せざるを得なかったのは、米国のバイデン新政権に「対話重…
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2021/01/05 佐々木伸
イランは1月4日、フォルドゥの核施設でウラン濃縮度を20%にまで高める作業に着手したと発表した。核爆弾製造を容易にする濃縮度であり、重大な一線を越えたことを意味する。米国は「核による恐喝」と非難、イスラエルも「核兵器製造は容認しない」と強…
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2021/01/04 佐々木伸
ニューヨーク・タイムズなどによると、ミラー米国防長官代行は1月1日、ペルシャ湾の米空母ニミッツに、同海域から撤収するよう命じた。イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官暗殺1周年の3日を前に、米イランの軍事的緊張が高まっているが、唐突な決定に様…
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2020/12/26 佐々木伸
トランプ米大統領は12月23日、イラク・バグダッドの米大使館周辺がロケット弾攻撃を受けたことに対し、「1人でも米市民が殺害されれば、その責任をイランに負わせる。このことを考えろ」とツイート、イラク民兵を支配するイランに強く警告した。イラン…
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2020/12/24 佐々木伸
イスラエルの連立政権が12月23日崩壊した。右派「リクード」を率いるネタニヤフ首相と連立相手の中道「青と白」の指導者ガンツ国防相が対立する中、国会が20年度の予算案承認に失敗、規定により解散した。2年間で4度目の総選挙を来年3月23日に実…
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2020/11/29 佐々木伸
イランの国営メディアによると、同国の核開発計画で中心的な役割を担ってきた著名な科学者モフセン・ファクリザデ氏が11月27日、暗殺された。米ニューヨーク・タイムズは当局者の発言として「イスラエルの介在」を伝えており、情報機関モサドの関与説が…
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2020/11/25 佐々木伸
イスラエルや米国のメディアによると、イスラエルのネタニヤフ首相は11月22日、敵対してきたアラブの大国サウジアラビアを極秘訪問、ムハンマド皇太子、ポンペオ米国務長官と3者会談を行った。国交正常化問題を協議したのは確実だが、その真の狙いは「…
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2020/11/18 佐々木伸
米ニューヨーク・タイムズ(11月16日付)によると、トランプ米大統領は12日の側近らとの会合で、イランの核施設を攻撃する具体的選択肢を提示するよう要求したが、大規模な衝突に発展しかねないとして、止められていたことが分かった。大統領には、政…
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2020/10/30 佐々木伸
フランスの保養地ニースのノートルダム教会で10月29日に起きた「イスラム過激派によるテロ」(マクロン大統領)は2016年に同地で発生した86人殺害のテロの悪夢を思い起こさせ、過激派の残虐性をあらためて印象付けた。事件の背景には、欧州とイス…
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2020/09/26 佐々木伸
ニューヨーク・タイムズ(9月24日付)などによると、米統合特殊作戦軍はこのほど、国際テロ組織アルカイダのシリア分派「フラス・アルディン」の幹部をドローン搭載の通称“忍者ミサイル”で暗殺した。このミサイルは爆弾の代わりに長い回転刃で標的を切…
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2020/09/22 佐々木伸
イランが米国の圧力攻勢にじっと耐えている。挑発に乗って行動を起こせば、米国の報復攻撃に口実を与えかねないからだ。11月3日の米大統領選に向け劣勢にあるトランプ大統領にとって、イラン攻撃は“オクトーバー・サプライズ”として大きなプラス材料に…
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2020/09/15 佐々木伸
中東ペルシャ湾岸のアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの代表は9月15日、トランプ大統領の仲介の下、ホワイトハウスでイスラエルとの関係正常化に調印する。パレスチナ問題を切り捨てて敵対関係の解消に踏み切った形だ。米、イスラエルとともにイラ…
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2020/09/13 佐々木伸
トランプ大統領は9月11日、イスラエルと中東の小国バーレーンが国交正常化で合意した、との共同声明を発表した。イスラエルとペルシャ湾岸諸国の国交正常化はアラブ首長国連邦(UAE)に続いて2カ国目。再選に苦戦する大統領が外交的成果を誇示し、有…
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