中東を読み解く
イスラム国、シリア、イラク、イラン、トルコ、そして米露、イスラエル。混迷を極める中東情勢の動きを共同通信社記者としてカイロ支局に駐在していた筆者が解説する。
-
2019/11/18 佐々木伸
シリアなど中東で影響力拡大を続けるロシアが今度は北アフリカのリビアに民間の傭兵部隊を送り込み、トリポリ中央政府に戦いを挑んでいる民兵組織「リビア国民軍」のカリファ・ハフタル将軍(75)への本格支援に乗り出した。傭兵部隊のスナイパーによる射…
-
2019/11/12 佐々木伸
イラクとレバノンで政治・経済改革や腐敗の一掃を叫ぶ反政府デモが拡大、それぞれ国家を揺るがす深刻な事態に陥っている。レバノンではハリリ首相の辞任に発展、イラクではこれまで、デモ隊と治安部隊の衝突で約320人が死亡した。デモの背景には両国に強…
-
2019/10/31 佐々木伸
ニューヨーク・タイムズ(10月30日付)によると、米特殊部隊に追い詰められて自爆した過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブバクル・バグダディは敵対組織のアルカイダ一派に多額の“用心棒代”を支払い、警護してもらっていたが、最後には自ら…
-
2019/10/29 佐々木伸
米メディアによると、米特殊部隊に追い詰められ、自爆して果てた過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブバクル・バグダディの遺体はイスラムに則った葬儀が行われた後、海に水葬された。米軍は潜伏していた建物も爆撃で完全に破壊しており、死亡した…
-
2019/10/28 佐々木伸
トランプ米大統領は10月27日朝緊急会見し、生死が謎に包まれていた過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブバクル・バグダディが前日、シリア北西部で米特殊作戦部隊の急襲を受け、自爆して死亡したと発表した。ISはバグダディの死亡でその象徴…
-
主役はプーチン・ロシア大統領
2019/10/26 佐々木伸米軍の撤退やトルコ軍の侵攻で混乱が続いたシリア情勢はロシアのプーチン、トルコのエルドアン両大統領による首脳会談で、クルド人の国境地域からの排除とトルコの「安全地帯」設置に合意、事実上シリア分割の“新地図”ができ上った。なによりも印象付けら…
-
2019/10/22 佐々木伸
シリア北東部に駐留していた米部隊は10月21日、装甲車など車約100台に分乗してイラクへ撤退した。見捨てられた思いのクルド住民は“嘘つき米国人”などと叫んで車両に石やイモを投げつけて抗議した。エスパー国防長官は一部部隊がシリアの油田防衛の…
-
2019/10/18 佐々木伸
ペンス米副大統領は10月17日、トルコの首都アンカラを訪問してエルドアン大統領と会談、シリア北部の停戦で合意したと発表した。しかし、ペンス氏はトルコ軍の撤退を要求せず、トルコが侵攻によって確保した「安全地帯」を追認する形になった。米国が大…
-
目に余るトルコ民兵の“蛮行”シリア、捕虜への銃撃を動画撮影
2019/10/15 佐々木伸トルコ軍のシリア侵攻作戦が続く中、トランプ米大統領はシリア北部に駐留していた米部隊1000人を完全撤退させることを命令した。これに対してクルド人勢力はトルコに対抗するため、アサド・シリア政権と手を結び、政権軍が北部地域に進軍した。情勢が目…
-
2019/10/11 佐々木伸
トルコ軍がシリア侵攻の「平和の春」作戦に踏み切り、徹底抗戦を叫ぶクルド人勢力との戦闘が激化、民間人の犠牲者も出始めた。侵攻はトランプ米大統領が“青信号”を与えたことが引き金だが、トルコのエルドアン大統領は先兵として配下のシリア反体制派アラ…
-
2019/10/09 佐々木伸
「知識も熟考することもなく衝動的に決断している」。過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いで、米国の有志連合大統領特使を務めたブレット・マクガーク氏はトルコのシリア侵攻を承認したトランプ大統領の10月7日の決定を痛烈に批判した。「米国の中…
-
2019/10/07 佐々木伸
ペルシャ湾の一角、イラクで先週から始まった反政府デモは拡大の一途をたどり、10月7日までに治安部隊との衝突などで104人が死亡、6000人以上が負傷する深刻な事態となった。アブドルマハディ首相は改革案を提示し、沈静化を図っているが、デモは…
-
2019/10/03 佐々木伸
中東情勢に定評のある専門誌「ミドルイースト・アイ」によると、サウジアラビアはこのほど、軍事衝突も辞さないとしてきたイランとの関係を対話路線に方向転換した。イラクのマハディ首相が仲介した。先月の石油施設への攻撃で、原油生産の半分が停止すると…
-
2019/09/24 佐々木伸
サウジアラビアの石油施設攻撃はトランプ大統領の“弱腰”につけ入った「イランの犯行」(米国務長官)という見方が高まるにつれ、ペルシャ湾岸諸国では、オバマ前政権と同様、トランプ政権に対しても不信感が生まれている。とりわけトランプ氏が6月の米無…
-
2019/09/19 佐々木伸
サウジアラビアの石油施設攻撃は誰が実行し、背後に黒幕はいるのか。世界経済を直撃した攻撃をめぐって謎は深まるばかりだ。イラン犯人説に傾斜するトランプ米大統領はポンペオ国務長官をサウジアラビアに派遣し、対応を急いでいるが、イランは攻撃されれば…
-
2019/09/16 佐々木伸
サウジアラビアの石油施設2カ所が9月14日、何者かの無人機攻撃を受け、同国の石油生産能力の半分が停止するなど世界に衝撃を与えた。イエメンのシーア派反政府勢力フーシが犯行声明を出したが、米国はイラン関与の疑いを強め、トランプ米大統領は「犯人…
-
2019/09/15 佐々木伸
イスラエル史上初めてのやり直し総選挙が9月17日に迫った。情勢はネタニヤフ首相率いる右派「リクード」とガンツ元軍参謀総長の中道連合「青と白」がデッドヒートを展開中。だが、仮に「リクード」が勝利したとしても、首相が組閣にこぎつけ、新政権を発…
-
2019/09/09 佐々木伸
トランプ大統領は先週末の9月8日、キャンプデービッドの大統領山荘にアフガニスタン内戦の当事者を集めて秘密協議を開催、和平合意を達成して歴史的な偉業としてアピールしようと図ったが、テロで米兵が殺害されたことから急きょ中止に追い込まれた。再選…
-
2019/09/05 佐々木伸
ニューヨーク・タイムズなどによると、イランは対決姿勢一辺倒だった対米戦略を劇的に転換し、米国の経済制裁による国家存亡の危機を脱却するため、最終的にトランプ政権と交渉するしかないとの判断に達したようだ。イランは9月5日にも「核合意履行破り」…
-
2019/08/27 佐々木伸
イランの同盟国であるイラク、シリア、レバノンの3カ国がこの数日、相次いで無人機やミサイルによる攻撃を受けた。イスラエルがイランとの“影の戦争”を激化させていると見られている。レバノンのシーア派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師が報復を誓う…
|
|