前向きに読み解く経済の裏側

2019年1月14日

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 今回は『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、保険の必要性について解説します。

 日本人は保険が好きだと言われています。何となく保険に加入していれば安心だ、という気持ちはわかりますが、気分で決めるよりは合理的な考え方をしたいものです。

(zimmytws/Gettyimages)

保険の本質は助け合い

 保険の本質は、「誰かが困った目に遭ったら助けてあげるため、皆で金を出し合う」という約束です。困った事が起きなかった人は、他人を助けるための支出を余儀なくされるのですが、それは仕方のない事です。

 実際には少しだけ違っていて、困った目に遭う人が出る前から保険会社が保険料を集めます。困った人が出なければ保険会社の丸儲けですが、困った人が2人出たら保険会社の損になります。この点については「大数の法則」という統計の話になるので、拙稿『銀行の金庫には現金がほとんど無いが、大丈夫か?』をご参照ください。

 これを顧客の立場から見ると、「困ったことが起きた時に巨額の資金(保険金)を受け取れる権利が欲しい。そのためには保険料を支払う。困ったことが起きなければ払った保険料は損するが、それは当然のことだから仕方ない」ということになります。

 「長生きしたら保険料が損だから、生命保険には加入しない」と考えるのは、一理ありますが、チョッとだけ発想を変えてみましょう。「長生きしたら、早死にしなくて良かったと喜ぼう。早死にしたら生命保険に加入していて良かったと喜ぼう」というわけですね。プラス思考です(笑)。

保険の期待値はマイナス

 皆で助け合う場合と異なり、保険会社の保険に加入すると、期待値がマイナスになります。言い方を変えれば、「助け合う人々が出し合う金額」よりも「困った人が受け取る金額」の方が少ないのです。保険会社の費用と利益が差し引かれているからです。

 もちろん、毎日の収支を計算すれば違う日もあるのでしょうが、長い間にはコストと利益が確保できるように保険会社が計算して保険料を決めているのですから、当然ですね。

 つまり、客を全体としてみれば、払った保険料よりも受け取る保険金の方が少ないのです。払っている保険料の一部は、保険会社のコストと利益なのですから。

 それなのに、なぜ保険に加入する人がいるのでしょうか。それは、とても困った時に大金が受け取れると大変助かるからです。

 たとえば「家が焼けたら1000万円の保険金が受け取れる火災保険」があったとして、大勢の客が合計で1000万円超の保険料を支払っているとしたら(差額は保険会社のコストと利益)、損をしたような気もしますが、「家が焼けて住むところがなくなる心配をしなくて良いなら、多少の費用は喜んで払おう」と考える客も多いでしょう。

 そうだとすれば、いつでも家が買えるだけの貯金を持っている金持ちは、火災保険に加入すべきではありませんね。家が焼けても「とても困った事態」にはならないからです。それなら、期待値がマイナスの保険に加入する必要はありません。生命保険も同じことです。

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