2024年4月24日(水)

中国 覇権への躓き

2019年11月1日

 現在の共産党指導部の国内外の情勢認識は厳しい。習近平は今年1月に中央と地方の主要指導者を召集した大規模の会議において「リスクに備える必要性」を訴えた(詳細は本連載8月号)。そして9月には中青年幹部の研修会において、社会の発展過程で避けることのできないリスクとチャレンジに向き合うためには、「闘争精神」の発揚が必要だとも語っていた。こうした発言は、リスクに直面した共産党指導部が表した危機意識を示したものであると同時に、「強国」となった自国に対する自信の表れと理解すべきだろう。

 共産党指導部は、香港において激化している政府に対する抗議活動の要因を、どうやら見誤っている。香港社会の要求は自由と民主を追求しているが、共産党指導部は深刻な経済格差に対する不満や外国勢力によるが原因と理解しているようだ。こうした誤認こそ、この過剰な「自信」によって生まれたものといってよい。

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Part 1 世界秩序は「競争的多極化」へ 日本が採るべき進路とは 中西輝政
Part 2   米中二極型システムの危険性 日本は教育投資で人的資本の強化を
             インタビュー ビル・エモット氏 (英『エコノミスト』元編集長)

Part 3   危機を繰り返すEUがしぶとく生き続ける理由  遠藤 乾
Part 4   海洋での権益を拡大させる中国 米軍の接近を阻む「太平洋進出」 飯田将史
Part 5   勢力圏の拡大を目論むロシア 「二重基準」を使い分ける対外戦略 小泉 悠
Part 6   宇宙を巡る米中覇権争い 「見えない攻撃」で増すリスク 村野 将

  
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◆Wedge2019年11月号より

 

 

 

 
 


 
 
 
 
 
 
 
 


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